SONICWIRE

圧倒的に太い音。プロ作曲家R・O・N氏がKeepforest製品をレビュー

2026年9月11日 15:00 by mas

『転生したらスライムだった件』や『憂国のモリアーティ』などの音楽を手掛けるクリエイター、R・O・N氏

今回は、アニメや映画などで流れる劇伴音楽向けのシネマティック音源に特化した「Keepforest」社製品をプロの視点からレビューしていただきました。

音質や操作感について詳細なご意見をいただきましたので、本製品を購入したいと思っている方も、新たなシネマティック音源を検討中の方も是非最後までご覧ください!

『Appex – Modern Trailer Guitar』

一聴して太いサウンドが印象的でした。低音弦もしっかりクリアに出ており、取り回しも良いと感じました。

モダンなサウンドを求める方にはピッタリな音源だと思います。リフものをメインに取り扱うのであればバッチリハマるのではないでしょうか。基本的にクリーンギターで収録されているようで、ペダルやアンプ、キャビのセッティングは自由にできる状態です。必要十分な選択肢が提供されてはいますが、こだわるのであれば、アンプシミュレーターを別で使っても面白いかもしれません。

UIも整理されており、ロードしてすぐ分かる使いやすさがあると思います。「GLOBAL MENU」から音色をオートプレイしながら好みのサウンドを探すのが簡単でおすすめです。アンプのセッティングに関しても簡素化されており、方向性をパッと決められる良いバランスの設計だと感じます。


『Appex - Modern Trailer Guitar』
『Appex – Modern Trailer Guitar』

『WATCHKEEPER: MODERN COUNTDOWN PERCUSSION』

主に緊張感を出したい時のパーカッションとして有効なライブラリだと思いました。時計由来のサウンドのほか、IMPACTやキック、スネアが収録されているので、基本的なドラムループは構築できます。他にはBASSやPULSEも多少収録されています。面白かったのが鐘のサウンドが入っていたことです。時計といえばということなんでしょうか。

サウンド面では実機が丁寧に収録されている印象で、リアルな質感がとても良いです。ループにオーガニックな印象を持たせたい時にエッセンスとしてトッピングするとオリジナリティのあるサウンドが作れると思います。また、リズムのセクションでは多数のmidiが用意されているので、プリセットからランダムに選んで再生するだけで即戦力です。

UIは非常に分かりやすいので迷うことはないと思います。ど真ん中の時計が音を出す度に時間が進んでいくのがとても良く、奥の機構も常に動いているのが見えてとてもオシャレです。UIは意外と大事で、使用の満足度に貢献してくれるものだと思っています。


『WATCHKEEPER: MODERN COUNTDOWN PERCUSSION』
『WATCHKEEPER: MODERN COUNTDOWN PERCUSSION』

『EVOLUTION: DEVASTATOR WARZONE』

「これ一つでトレイラーミュージック制作が完結する」と言えるほどの音源です。DRUMS、BASS、PULSEやSFX類のほかリード向けのサウンドも多少収録されています。全体的なサウンドとしてはハイブリッドな雰囲気で、モダンなスコアリングにバッチリとハマる内容です。特にサウンドメイクしなくてもそのままで完成された音になっているので、ロードしてすぐに迫力のあるサウンドが手に入ります。いわゆるトレイラーミュージックのあの質感の音です。もちろんEFFECTSも搭載されているので、音作りを追い込むこともできます。個人的にはTONAL FXのセクションのサウンドがお気に入りで、割と頻繁に使っています。

UI周りも整理されているので、難しいことはないと思います。メインページがリバーブとADSR、LPFとベロシティ・センシティビティだけですので、そのまま使ってねと言わんばかりのUIですね。


『EVOLUTION: DEVASTATOR WARZONE』
『EVOLUTION: DEVASTATOR WARZONE』

『Ferrum – Modern Trailer Percussion』

こちらもモダン寄りの質感ですが、パーカッション専用機です。音程のある楽器はありません。オーケストラパーカッションのような音も収録されていますが、メインはハイブリッドな音色です。そのため、スケールの大きいアクションものなどに有用だと思います。こちらも入念に音作りされているので、ロードしてすぐ使える気軽さがあります。先の『Warzone』の音にもう少し何か足したいけど・・・というときに最適だと思います。Super Snare Drumsというパッチがあるのですが、一般的なスネアを想像すると驚くかもしれません。非常にハイパーなサウンドです。

UI周りも他ライブラリと同様に簡単設計です。そのままの使用でも十分ですが、パーカッション専用機ということで、メインページでマイクポジションがすぐ触れるようになっています。

またそれぞれのパッチに、トランジエントやボディなど要素に分かれたパッチが用意されているので、もうちょっとアタックが欲しいとか、もうちょっとローエンドが欲しいなど、音作りも追い込めるようになっています。


『Ferrum - Modern Trailer Percussion』
『Ferrum – Modern Trailer Percussion』

インタビュー

Keepforest製品はどんなジャンル・シーンの制作で活躍しそうですか?

4つとも劇伴制作においては活用する機会が多いと思います。カッコよくてモダンな要素が求められるアクションシーンにはぴったりだと思います。

歌モノ領域についても、アクセントとして使うのに良いと思います。例えばドロップでカッコよいリフが作りたい時にAppexでシンセリフを作ったり、ビルドでFerrumのループを使ってみたり、バラードの平歌部分に質感のあるドラムループを入れたい時にWATCHKEEPERのフォーリーサウンドを利用したり。ジャンルを問わず、インパクト含めSFXはいくつあっても良いと思うので、Warzoneも色々なシーンで使えると思います。

現代のポップスはハイブリッドなものが増えているので、どのライブラリでもそのままスッと馴染んでいく印象です。

R・O・Nさんはご自身でギターを演奏されると思いますが、ギタリスト視点から『Appex – Modern Trailer Guitar』を見て、8弦のギターサウンドや収録されたリフに魅力を感じますか?

ギタリストとして見ると弾いてしまった方が早いと思いますが、例えばリフを構築した後にチョップするようなトラックを作る場合はあえてAppexを使うのもありだと思います。

8弦を所有していない場合にも、実機のギターの代替としてリフを作れるところは魅力だと思います。特にDjentやModern Metalにはピッタリで、そのまま使ってもアンサンブルでは自然に馴染むクオリティのリフが多数収録されています。もしも打ち込みギターっぽく感じる箇所があった場合は、自分で調整してより自然に聞かせるように工夫できるのがうれしいポイントです。

またEDMやCyberpunkといったセクションには先述したシンセリフ的な使い方が出来るものが収録されており、ギターとしてではなく、シンセとして有用な側面もあります。実際の制作場面でもシンセリフとして使っていて、ポストで更に歪ませたりカットアップしたりと、リフ作成音源として重宝しています。

他のデベロッパーのシネマティック音源と比べて、どういったところが「Keepforest」製品の強みだと思われますか。

即戦力になる音作りと、モダンハイブリッドなジャンルに特化している点が強みだと思います。またサウンドデザインが現代に寄っているので、劇伴音楽、歌もの問わず近代的な質感を表現するのに活躍できるのではないでしょうか。

音圧が高めでインパクトがあり、低域が力強いサウンドが欲しい方にはピッタリのデベロッパーだと思います。

「まず1製品選ぶならこれ」という製品はどれですか?お選びになった理由と合わせて教えてください。

個人的には『EVOLUTION: DEVASTATOR WARZONE』を選びます。アクション多めの劇伴を書くときにこれがあれば対応できる範囲が確保されるからです。歌もの適性が高いサウンドも多数収録されているので、総合的に使用頻度が高いです。ポップスにシネマティックな雰囲気を取り入れたいと考えている方にもおすすめします。

R・O・N

東京都出身。幼少期をドイツ、アメリカで過ごし帰国後、2004年早稲田大学を卒業。楽器歴はピアノに始まり、ギターやベースも自身で演奏する。キャッチーでアーティスティックなサウンドとあらゆるジャンルに対応した独特なプログラミングアレンジに定評がある。ストリングスアレンジやブラスアレンジ、オーケストレーションもこなし、O.S.T.においても高い支持を持つ。STEREO DIVE FOUNDATIONとしても活動中。

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