音楽家の思考: SO-SO
SONIBLE「SMART」シリーズ製品レビュー
日本を代表するヒューマンビートボクサーとして活躍するだけでなく、ビートボックスサウンドのみで制作した印象的な楽曲が絶大な人気を誇るSO-SO氏に、普段の楽曲制作やDTMに関することについて伺いました。
また、サウンドに合わせてAIが自動調節を行うSONIBLE社の人気プラグイン『SMART:COMP 2』と『SMART:EQ 4』をお試しいただき、その使用感についてお話を伺いました。
音楽家の思考: SO-SO
普段、楽曲制作やDJ、ライブパフォーマンスを行う際に使用する機材を教えていただけます か?
楽曲制作で使用
[DAW]
- Ableton Live 12
[PC]
- M1 MacBook Pro
[オーディオインターフェイス]
- Apogee Symphony Desktop
[モニター環境]
- Focal ALPHA EVO 65
- Focal Sub One
- Beyerdynamic DT 700 PRO X
- CASIO CT-S1
[MIDIキーボード]
- CASIO CT-S1
[マイク]
- Shure SM7b
ライブで使用
[ルーパー]
- BOSS RC-505mkII
[ヘッドフォン]
- Pioneer DJ HDJ-S7-K
[マイク]
- Shure BETA 58A
[エフェクター]
- Roland VT-4
[MIDIパッド]
- Launchpad Pro MK3
SO-SO様が普段よく聞く音楽、好きな音楽ジャンルについて教えていただけますか?
[アーティスト]
REZZ, Porter Robinson, Madeon, Skrillex, SEKAI NO OWARI
[ジャンル]
Bass Music, Electronic, Hyperpop
ヒューマンビートボックスを始めたきっかけを教えていただけますか?
15歳の時にYouTubeで以下のビートボックスの動画を見て始めました。
動画を見て自分もやってみようと思った理由を教えていただけますか?
あまりにもカッコ良すぎて、気付いたら真似してました。
ヒューマンビートボックスの中でも、「ループステーション」を使って自身の声をリアルタイムで録音・加工して音楽を構築するスタイルに興味を持ったきっかけを教えていただけますか?
とにかく周りの誰もやってない事を取り入れようと思い、当時日本ではほぼユーザーがいなかったループステーションに目を付けました。パフォーマンスよりも音楽に近づけたキッカケです。
ヒューマンビートボックスのライブパフォーマンスで音楽を構築する際に意識していることを教えていただけますか?
楽器の模倣ではなく、口から出るビートボックスならではの音をなるべく多く使うようにしています。
自身の口が奏でる様々な音から生み出される特徴的な楽曲は、日本をはじめ世界で人気ですが、楽曲制作を行う上で心がけていることや意識していることを教えていただけますか?
人間味を残す(ブレスの音やノイズをあえて入れたり、クオンタイズしすぎずに録音時のグルーヴを大事にする)や、ダンスミュージックとして踊れるか、フロアを盛り上げられるか、意外性や遊び心などを意識しています。
楽曲を制作する際の主な流れを教えていただけますか?
[歌モノ]
まずは核となるメインのメロディーを考えます(歌詞から作る事もあります)その次にドラム→ベースライン→コード→その他の順番で作ります。
[歌モノ以外]
ドロップ(ダンスミュージックのサビ的なパート)から作ります。とにかく派手な音、変な音、気持ち悪い音ができるまで試行錯誤を繰り返します。
楽曲制作の際に、自身の声と合わせてサンプルパックやソフト音源を使用することはありますか?
僕はコラボ作品以外は楽器やソフト音源、サンプル等は一切使いません。全てビートボックスの音で完結させます。
制作時、録音した声をもとにドロップなどのベース、キック、スネアの音作りを行う際の大まかな手順を、よく使用するプラグインの使い方も合わせて教えていただけますか?
ノーマライズしてコンプレッサーやオートメーションでダイナミクスを整える。
- Glue Compressor
- GRATER LIGHT
- 『SMART:COMP 2』
サチュレーターやアナログ系のプラグインで音に色を付ける
- MAGNETIC II
- 『KSHMR ESSENTIALS』
- 『OTT』
EQやディエッサーで耳障りな帯域をカットする
必要に応じてリバーブを付ける
- Raum
- Valhalla Room
- 『SMART:REVERB』
普段よく使用するエフェクト・プラグインを教えていただけますか?
- Ableton Live付属プラグイン一式
- W.A. PRODUCTION『KSHMR ESSENTIALS』
- Output『PORTAL』
- iZotope『TRASH』
- iZotope『VOCALSYNTH 2』
- SoundToys 「Little Alterboy」
- SoundToys「Decapitator」
- Kilohearts 「Transient Shaper」
- Native Instruments「Raum」
- VALHALLA DSP「Valhalla Room」
- VoosteQ「Model N Channel」
- OEKSOUND『SOOTHE2』
- SOUNDTHEORY『GULLFOSS』
- iZotope『OZONE 11』
- Cradle「The God Particle」
SONIBLE「SMART」シリーズ製品レビュー
実際に使用した際の第一印象を教えていただけますか?
SMARTの名にふさわしく、とても便利でAIの精度もかなり高レベルだと感じました。『SMART:EQ 4』は各グループトラックに挿してマスキングの処理に使うのが特に便利そうです。
『SMART:COMP 2』はドラム、ボーカル、マスターなど、どんな場面でも困ったときにダイナミクス処理の一つの指標を提案してくれるので頼りになります。
操作性はいかがでしょうか?
チュートリアルを見れば特に問題なく使えました。エフェクトの効き具合が視覚的にとてもわかりやすいです。ただまだ他にも使い道があるような気もしているので、奥が深いプラグインだとも言えます。これからも試行錯誤して使いこなしていきたいです。
AIによる自動イコライジング/コンプレッション機能を使用してみた感想を教えていただけますか?
基本的にAIで読み込んだ後は理想の音像に一歩近づく、よりナチュラルかつバランス良く仕上がることが多いです。
『SMART:EQ 4』のリファレンス・プロファイル機能を使用してみた感想を教えていただけますか?
リファレンス音源に近づける意外なEQingを発見できたりして、勉強になります。
その他便利だと感じた点はありますか?
個人的にAdaptiveの値を変えられるのが革新的だと思いました。OZONEのClarityや『GULLFOSS』にはない痒い所に手が届くパラメーターで気に入ってます。
使いにくいと思った点を教えていただけますか?
特に『SMART:EQ 4』は、通常のEQとはいい意味で違いすぎて、チュートリアル動画をみてから理解するまでに少し時間がかかりました
SO-SO様自身の制作において使用する場合、どのような使い方が考えられますか?
AI機能を使って、グループトラックやマスタートラックで使うことが多くなりそうです。
今後どのような機能を持つAIプラグインの登場を期待しますか?
「SMART:Saturator」、「SMART:Vocal」、「Smart:Transient」のようなプラグインが登場すると便利だと思います。
ご回答いただき、ありがとうございました!
(ヒューマンビートボクサー/音楽プロデューサー/DJ)
代表曲 「Interview 2.0」をはじめとしたダンスミュージック主軸の楽曲をビートボックスサウンドのみで制作し多数リリース。
世界大会「Grand Beatbox Battle 2019」ではループステーション部門に日本人で初めての出場・TOP4、2023年に開かれた同大会にて彼がリーダーを務めるビートボックスクルー・SARUKANIとして世界チャンピオンに輝く。
また多数のCMやドラマへの楽曲提供、2023年はHey! Say! JUMPへの提供楽曲がビルボードにて1位に輝くなど、音楽プロデューサーとしての活動の幅も広げている。
SO-SO - Interview 2.0 (Official Music Video)
SO-SO Exercise (Official Music Video)
SO-SO - Super Mario Beatbox Remix