SONICWIREスタッフの「2023年、心に残ったDTM製品」8選!
2023年も、残すところあとわずか。
今年も様々なデベロッパーから新製品がリリースされ、新たに取扱いを開始したデベロッパーも登場しました。
今回は、一年の振り返りとして2023年に「登場した製品」or「自分で買った製品」の中から、SONICWIREスタッフ8名がそれぞれ一番心に残った製品をピックアップします。
- 1. LEAPWING AUDIO『STAGEONE 2』 / スタッフ“yuk”
- 2. VENGEANCE SOUND『AVENGER 2』 / スタッフ“kta”
- 3. BOGREN DIGITAL『MLC S_ZERO 100』 / スタッフ“iro”
- 4. TWO LANDS『POP STARS SHOUT!!』 / スタッフ“fum”
- 5. TOONTRACK『EZ KEYS 2』 / スタッフ“toy”
- 6. PLOGUE『CHIPSYNTH SFC』 / スタッフ“rym”
- 7. BEST SERVICE『CELTIC ERA 2』 / スタッフ“hik”
- 8. LOOPMASTERS『FOLK POP VOCALS』 / スタッフ“knd”
- まとめ
1. LEAPWING AUDIO『STAGEONE 2』
スタッフ“yuk”
- メーカー:LEAPWING AUDIO
- カテゴリ:プラグイン・エフェクト
初代『STAGEONE』の頃から、これまでのステレオフィールド系プラグインからは一線を画す“使いやすさ”が気に入り、個人的な推しプラグインとして知人にも触れ回っていた折に『STAGEONE 2』が登場。
『STAGEONE』は「サイド成分だけを拡げる」「ミッド成分だけを拡げる」という芸当をそれぞれスライダーひとつで叶えるというプラグインで、「ミッドが混んでるからこのトラックに避けてもらおう」といった処理がワンパンで実現できてしまいました。
『STAGEONE 2』は、初代にあった“痒いところ”をことごとく改善。「狭くする方向の処理」ができるようになり、更にマルチバンドで処理できるようになったことで、サブロー帯域のモノラル化やハイ/ミッドの整合性を整えるようなことも可能にしています。
私個人、ステレオフィールドの調整はほぼ全てこのプラグインで完結しています。『STAGEONE 2』を使ってボーカルトラックのミッドを少し拡げてあげるだけで、トラックにバチっと馴染みますよ!
2. VENGEANCE SOUND『AVENGER 2』
スタッフ“kta”
世界中で大人気のシンセ『AVENGER』が、4年もの研究開発を経て『AVENGER 2』に進化しました。『AVENGER』は私の入社と同時に認証方法が変更※され、多くのお問合せやご意見をいただいたのが記憶に新しいです。。。
※Codemeter認証。現在はより良い認証方式に改善されています
さて『AVENGER 2』は、ウェーブテーブルは勿論としてグラニュラー・シンセシスやフリーフォームといった多種多様なオシレーター・モードを搭載し、インサート、センド、マスターエフェクト・ラックを備えたFXルーティング・システム、モジュレーション・ソースをターゲットにドラッグ&ドロップするだけでモジュレーションを形成できるモジュレーション・マトリックス等、『AVENGER』から好評だった機能はそのままに、バージョンアップされています。
『AVENGER 2』では、アルペジエーター機能が飛躍的に進化。アルペジエーター・ラチェットによってより複雑なシーケンス・パターンを生成できるようになり、出現確率を指定するなど細かに設定できるシーケンス・ランダマイザを搭載。これまでも評価の高かった内蔵エフェクトにクリエイティビティを刺激するエフェクトが更に追加され、サウンドクオリティも著しく向上しています!
プライベートで作曲する上でも、『AVENGER』バージョン1から多用しています。拡張プリセットがかなり充実しているので、制作したいジャンルのプリセットを買って、聴きあさって最適なものを見つけて、そのまま使用したりしています。作曲においてはインスピレーションを即座に具現化する事が最重要ですので、そういったものを逃さず楽曲に反映してくれる『AVENGER 2』はこれからもきっと使い続けると思います!皆さんもこのバージョンアップを機に購入してみてはどうでしょう?
3. BOGREN DIGITAL『MLC S_ZERO 100』
スタッフ“iro”
- メーカー:BOGREN DIGITAL
- カテゴリ:プラグイン・エフェクト
2023年は、着々と経験値を貯めてきたBOGREN DIGITALが満を持してリリースしたフルアンプシミュレーター『MLC S_ZERO 100』が印象深いです。イベント展示で試奏いただいた方々からも好評でした。
昨年、同様の企画で取り上げた『AMPKNOB – RevC』を始め、ブランド設立当初から一貫してメタル向けの製品を世に送り出し続けている同社のこと、UIのビジュアルも相まって歪ませてナンボのいかついプラグインかと思いきや、結果クリーン~クランチもイケるオールマイティな製品でした。
アンプとしてのクセが少なく、使用するギターのキャラクターが出音に現れやすいと感じました。アンプ本体だけではなく、アンプの歪みをプッシュするオーバードライブや空間系エフェクターに加え、グライコも用意されているので、音作りの最小限にして十分な要素を備えています。
『MLC S_ZERO 100』最大の特徴は、入力信号のダイナミクスに合わせたアンプ・キャビネットの挙動をシミュレートする「IRDX テクノロジー」。良くも悪くも平坦な出音になりがちだったIRを使用する一般的なアンプシミュレータに対する1つの新しい提案となりました。これによって、クランチのカッティング演奏などもアクセントのニュアンスが損なわれずお勧めです。何よりも、弾いていて気持ちがいい!
正直なところ、MLC社のアンプが日本ではまだあまり馴染みがないこともあり実機再現度の面では評価しかねるのですが、このレスポンスの良さや音ヌケの良さは単純にアンプシミュレーターとして良いものだ!と思います。このクオリティで他のアンプもシリーズ化してくれないかなと願っています。
14日間動作する試用版もありますので、ギタリストの皆さんは是非体験してみてください!
4. TWO LANDS『POP STARS SHOUT!!』
スタッフ“fum”
- メーカー:TWO LANDS
- カテゴリ:ソフト音源
今年私が担当させていただいた製品で最も印象深かったのは、6月に新規取扱い開始となったメーカー、TWO LANDSの『POP STARS SHOUT!!』です!
「掛け声!?何?ガ、ガチ恋口上っ!?」といった感じで恐る恐る触ってみると、、、なるほど、自然と笑みがこぼれてしまうくらい楽しい音源でした!
かわいらしい女の子や、元気な男の子達(プロの声優を起用した総勢8キャラクター!)による豊富なシャウト=掛け声ボイスが収録されており、楽曲と合わせれば一瞬でテンションが跳ね上がります。
TWO LANDSは東京発の作曲家、演奏家が立ち上げた音源メーカーという事もあり、今制作現場において求められている要素や、使用感に直結する拘りがしっかりと盛り込まれています。
勿論、テンポシンク、4段階のベロシティレイヤー、各発声キャラクターの調整、編成等が自在ですので、楽曲毎に柔軟な対応力を発揮してくれます。
特にアイドルソングのプロデューサーにとって本作は、デモ段階でも確実にイメージ、ニュアンスを伝えられるツールとして、かけがえのない1本になるのではないでしょうか。
絶大な信頼をおけるシャウト部隊を常駐させる事が出来る『POP STARS SHOUT!!』。是非使ってみてほしいです!
5. TOONTRACK『EZ KEYS 2』
スタッフ“toy”
今年は間違いなくTOONTRACK『EZ KEYS 2』でしょう!
SONICWIREスタッフ内でも、そろそろ『EZ KEYS』も“2”になるんじゃない・・・?ということを話していたときに発表を受けましてね、かなり盛り上がった記憶が懐かしいです(GW直前でした)。来年は「EZ MIX 3」出るかなあ。発表ないけど。
今作は、およそ10年越しのアップデート。音質は言わずもがな各段に向上し、『EZ DRUMMER 3』『SUPERIOR DRUMMER 3』『EZ BASS』といった製品から受け継がれた機能面のおかげで、より“イージー”に制作が行えるピアノ音源が完成しました。
採用されたピアノは「Fazioli F212」。中型のピアノで、コンサート・グランドと比較して、ややソフトな音色を奏でます。全体的にバランスの取れたサウンドですが、轟くようなパンチのある音から羽のように軽やかな音まで、あらゆる表現が可能になっています。
機能面では『EZ KEYS 2』ならではの新機能「Suggest Chord」が画期的でした。例えばコードを一小節分指定してあげるだけで、前後を勝手に合わせてくれるんですよ(強すぎませんか?)。
他にも多くの“作曲を支援”してくれる機能が満載の『EZ KEYS 2』。まだお持ちでない方は是非チェックを!
6. PLOGUE『CHIPSYNTH SFC』
スタッフ“rym”
私が今年最も心に残った製品は、SONICWIREで2月に販売を開始した『CHIPSYNTH SFC』でした!
日本でも一時代を築いた国民的ゲーム機に内蔵されているモジュールを「エミュレート」し、現代の技術でリメイクしたもの。プリセットをポチポチ切り替えながら鍵盤を鳴らしているだけでも「あ~この音この音!」となって楽しいです。
ハードウェア音源を再現する多くの製品で取られる「サンプリング」の手法は選ばず、モジュールの発音構造をそのままソフトウェア内で再現することにより、寸分違わぬ出音を実現しています。その精度は「模倣」を優に超えており、同じ音色で奏でられた同じフレーズの波形を比較すれば、なんと実機と全く同じものが出力されます。
この完全再現ゆえ、なんと実機でも使用されている音楽データである「SPCファイル」とも互換があり、ソフト内でファイルをインポートすれば懐かしの楽曲を奏でるプレイヤーに早変わり。
いわゆる「アナログ・モデリング」と呼ばれる製品は星の数ほどありますが、その多くが「高い再現度」レベルに留まる中、ビット単位で同じ音を鳴らせるシンセサイザーを作り出した(しかもソフトウェア内で)PLOGUE社の技術力と情熱に脱帽したのは記憶に新しいです。
同社は本製品の他にも、YAMAHA「DX」シリーズや「PSS」シリーズのキーボードなど、FM音源を中心とした様々なハードウェア音源のモデリングを展開しており、その全てが完全再現。実機に触ったことがある方なら思わず感激してしまうあのサウンドが、この価格で!?といった驚愕のラインナップになっていますので、ぜひ他の製品もご覧になってみてください。
7. BEST SERVICE『CELTIC ERA 2』
スタッフ“hik”
私事ですが、ケルト音楽好きが高じて最近ティンホイッスルを購入し、ケルト音楽の楽譜集とにらみ合いながらピロピロ吹いておりますスタッフhikです。
もともとケルト/アイリッシュ音楽が好きなのでいつか絶対買おうと思っていたのですが、『CELTIC ERA 2』を先日購入しました。
デモソングを聴いたときから神音源であることは分かっていたのですが、実際に音を出してみてもその評価は変わることが無く、パッチをロードして鍵盤を叩いた瞬間から完成されたリアルなサウンドが鳴り響きます。
ドリアンやミクソリディアンなどのモードを適当に弾けば時間を忘れて剣と魔法の世界に入り浸ることができ、普段DTMをしない方もMIDIキーボードでの演奏を楽しむために買ってみてはいかがでしょうか。
ゲーム/アニメのBGMのようなファンタジーな音楽が好きな方は、ぜひ製品ページのデモサウンドを聞いてみてください。
8. LOOPMASTERS『FOLK POP VOCALS』
スタッフ“knd”
スローテンポなジャンルに適したボーカルフレーズ音源は沢山ありますが、本製品『FOLK POP VOCALS』は、オリエンタルな雰囲気漂う「フォーク・ポップ」にフィーチャーしたサンプルパックです。
透明感のあるフィメールボイスで歌われる、バルカン音楽を思わせる心地よい浮遊感を持つメロディは、聴く人に「大自然」や「女神」「異世界」といったイメージを想い起こさせるようなサウンドカラーです。
また、ハーモニーのループにソロパートが完備されているところも要注目。トラックの展開に応じてソロとハーモニーを使い分けることで、テンション感のコントロールやフレーズの印象付けができ、さらにシンセパッドやストリングスなどと組み合わせたリハモも可能です。
筆者が個人的に好きなのは『YCF_75_F#m_Vocal_Female_Theres_Hollow_Ground_Full_Harmony.wav』。ルート音は動かさず、浮遊感のあるハーモニーがグルグルと動きながら展開していき、リバーブをたっぷりかけたくなるようなドリーミーさを持つフレーズです。
チルアウトやダウンテンポのトラックを一瞬でファンタジー映画のエンディングテーマに変えてしまうような存在感を放つ本製品。スローテンポなボーカルループのライブラリを充実させたい方、まさに「王道の飛び道具」というべき『FOLK POP VOCALS』はいかがでしょうか。
以上、各スタッフが「今年一番心に残った製品」を8つご紹介しました。この中で気になった製品はありましたか?もうお使いになられている方は、もし共感いただける点があればとても嬉しいです。
今年は特に『AVENGER 2』『EZ KEYS 2』といった大型製品のバージョンアップが注目を集めた一年になりました。また、『POP STARS SHOUT!!』をはじめとする“声ネタ”製品や各社バーチャルシンガー製品のラインナップの増強も大きな反響がありました。
他にもサンプルパック・カテゴリでは「TRIPLE A AUDIO」、「WAVETICK」といった新進気鋭のブランドを取扱いすることができ、幅広いカテゴリが充実した年になったと感じています。
そして、所謂インボイス制度にも大きな影響を受けた一年になりました。計算ロジックを丸ごと見直す必要があり、領収書フォーマットの更新や動作検証により、気づけば施行ギリギリの実装となりました。領収書はマイページから発行できますので、是非ご活用くださいね。
SONICWIREでは、2024年も新製品/新デベロッパーを拡充し、機能改善を重ね、ユーザーの皆様の快適なDTM環境の構築をお手伝いします。
皆様、来年も良いDTMライフを!
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