SONICWIRE

Sekimen×ODによるユニット「PEERLESS1.1k」が始動。1stシングル「Love me.」リリース記念インタビュー!【Reason for Creation】

2023年11月17日 17:00 by hmd

【Reason for Creation】

Reason for Creationは、次世代音楽クリエイターがツクルことを始めた理由について「創作活動」と「日常」の二面から掘り下げていくインタビュー企画です。

2022年3月に開催したSONICWIRE主催の楽曲コンテスト「ソニコン – SONICWIRE SONGWRITING CONTEST: SPRING –」で最優秀賞に選ばれたSekimen氏とOD氏が、ユニット「PEERLESS1.1k」として始動。今回は1stシングル「Love me.」のデジタルリリースを記念して、共同制作のフローやお二人の創作活動の源泉についてお話を伺いました。

「音楽をツクル」を始めたきっかけ

– まずは自己紹介をお願いします。

Sekimen:「Sekimen」という名前でボーカロイド楽曲を中心に作曲・投稿しているボカロPです。個人制作のほかにPHYZというグループでVTuberさんや歌い手さんへの楽曲提供をさせてもらっていて、最近は作家としても少しずつ活動しています!

OD:作編曲家/ギタリストの「OD」です。最近はSekimen君が動かすPHYZのプロジェクトにアサインしていただくことが多くて、直近だと2023年6⽉9⽇に行われたVTuberプロジェクトにじさんじ内のユニット「VΔLZ」さんの1st LIVE『一唱入魂』の制作に携らせていただきました。PHYZの制作と並行して作家としても活躍していけたらなという思いで今活動しています。

▲OD氏、Sekimen氏両名が製作に携わったVΔLZ 1st LIVE 『一唱入魂』の様子。サウンドディレクターを担ったSekimen氏は「まだまだ経験が浅いながらも、決断を迫られる場面では自信をもって意見を伝えることを意識しました。本当に色んな人に助けられながら裏方として、ライブの成功を支えられたと思います。」と語る。

 

– ユニット名「PEERLESS1.1k」の由来を教えてください。

Sekimen:前々からそろそろユニット名決めないといけないねって話をしていた中で、ODさんから唯一無二の意味を持つ「PEERLESS」を提案してもらったところからですね。で、調べてみたら、お互いが好きなラーメン屋さんの名前にもある天下一品っていう意味もあって、でもPEERLESSだけじゃ見つけてもらえないよね。ってので、天下一品のこってりラーメン大盛りのカロリー1100kclalから数字をもらって「PEERLESS1.1k」にしました。

OD:そうだよね。色々とその場のノリで決まった感じ(笑)。

 

– お二人が音楽を始めたきっかけは何ですか?

Sekimen:父親がもともとバンドをやっていて、当時のバンドメンバーのおじさんからギターを貰ったことがきっかけです。ただ、やってみたら全然弾けなくて(笑)。でもやっぱり何か演奏できたらかっこよさそうだなと思って、小学校高学年の時にギターより弦の本数が少ないベースを始めました。

OD:僕もきっかけはSekimen君と近いところで、親戚のおじさんにギターをもらったことがきっかけです。昔からB’zが好きで小学校から中学校までは、典型的なギターキッズの道を歩んでましたね。

 

– 打ち込みを始めたのはいつ頃ですか?

Sekimen:元々、毎日学校から帰ってはニコニコ動画のランキングをチェックするくらいのボカロ大好きっ子で、その頃から漠然と「ボカロPになりたい」という思いがありました。ベースと並列して中学生に上がったくらいの頃に、もらったお年玉を片手に近所の島村楽器までCUBASE ELEMENTSを買いに行きましたね。

OD:僕は、中学生まではとにかく一日中ギターを弾いてたんですが、ある日突然DAWを使って録音してみたら「なにやら楽しいぞ」ってなって。そこからはどんどん制作の方にシフトしていって今に至るという感じですかね。

 

OD氏のメインギター「FERNANDES RST-80 ’59(3TS)」

OD:数ある所有ギターの中でも随一お気に入りの子です。実に不思議なギターで、フロントからリアまで、感情や思惑がそのままの形でアウトプットされるかのようなフィーリングが最高です!

なお、購入して一週間後には改造欲を抑えきれず全バラしてしまいました。。。笑(きっとギター弾きの性ですね)

ピックアップとペグ含め、ほぼすべての部分を改造しています。

 

– 音楽を作るにあたって影響を受けたアーティストはいますか?

OD:堀江晶太さんです。自分は2、3年おきに影響を受けるアーティストが更新されますが、その中にはやっぱりボカロシーンがあって、堀江さんがボカロPとして活動されていた時代を自分たちは生きていますし、光栄なことに最近はお仕事やプライベートでもご一緒させていただく機会が多くて、強く影響を受けていますね。

Sekimen:じんさんです。活動を通じて出会うボカロPさんだったり、ボカロシーン全体からも影響を受けていますが、じんさんの物語や詞の作り込みは、特に影響を受けています。

 

– 直近で衝撃を受けた曲はありますか?

Sekimen:最近特段ハマって聴いているのは、電音部さんの「トアルトワ」という作品です。最近、作家としての自分の強みを考えた時に、リフレインするメロディの中で韻を踏んだり、どこかヒップホップテイストなところだと解釈していて、この作品を聴いた時、メロに合わせて踏まれる韻と歌詞から鮮明に見えてくるストーリーに感銘を受けました。自分の中のお手本というか、こんな曲を書きたいって強く思った作品です。

 

 

OD:ハマっている曲とは少し違いますが、エリック・サティさんの「Gymnopedie」という作品です。昔から周期的に聴きたくなるというか、むしろなんか聴かなければならないような瞬間があって、この音楽を聴くとすっかり心がリセットされるんですよね。気分を上げたいときに音楽を聴いたりとか、気分を上げてくれるような音楽はたくさんありますが、心をリセットしてくれる曲って意外とないんじゃないかという気がしてて、一番聴いてる曲となったら、これかなって気はしてますね。

 

「日常」と「創作活動」の繋がり

Sekimen氏の制作デスク

▲Sekimen氏の制作デスクは、プロジェクト全体を表示する大きなモニターとリージョン/トラックの詳細を表示する計2枚のモニターで構成される。マイクはANTELOPE AUDIO「Edge Solo」を使用しており、優れたモデリングエンジンを搭載する本機では往年の名機を再現していると言う。

オーディオインターフェース周辺

▶オーディオインターフェイスに採用しているANTELOPE AUDIO「Discrate4」は、内臓プリアンプがかなり高音質でとても明瞭な音がするとのこと。スピーカーはIK Multimedia「iLoud MTM」を使用しており、コンパクトな見た目ながらも、ものすごく低域まで出力するうえ、DSP機能を使用することで信じられないくらいフラットな音に聴こえるそうだ。

– 制作活動とはどのように付き合っていますか?

Sekimen:打ち合わせやボーカルRECの予定がばらばらな場所や時間帯に入っているので、向こう2週間~1カ月間の予定をGoogleカレンダーで確認しながら、合間を見つけては制作を進めてます。

OD:自分の場合は生活リズムという概念がほとんどないので、作業を一気に進めて、ちょっと限界がきたら3時間寝て、起きてまたやるみたいな制作スタイルです。

 

– 制作時のルーティンはありますか?

OD:作業の前は絶対にシャワーを浴びていて、その後にコーヒーを手で挽いて完全に準備ができてから取り掛かってますね。

Sekimen:共通してて笑っちゃうんですけど、僕も歌詞が思い浮かばない時とかはよくシャワーに入ります(笑)。シャワー中に思いついたメロディで、しばらく経っても覚えているものはすごく良いフレーズなことが多くて、実は今回配信した「Love me.」のサビメロもお風呂場で思い浮かんだものです。

 

– インプットやインスピレーションはどこから得ますか?

Sekimen:サウンド面のインプットにはSpotifyのおすすめ機能をよく使います。あとは、周りの先輩方との会話で「ミックスのリファレンスはニッケルバックを聴くと良いよね。」とか、話題に上がった曲は欠かさずチェックするようにしています。作詞に関しては、普段曲作りの前にプロッドを作るので、その時のひたすらに悩むワード選びが、自分にとってのインプットになっていると思いますね。

OD:僕は意外と音楽以外から影響を受けることが多くて、例えば大好きな漫画(中でも青年誌)だったり、偶然入った飲食店で流れる自分の守備範囲外の曲だったり、意図していない部分からのインプットが多いですね。散歩も好きでよくいきますが、音楽は聴かずに自然音や環境音を楽しむことが多いです。

配信楽曲の制作で気にかけたこととは

– 今回は共同での楽曲制作となりますが、制作の経緯やフローを教えてください。

Sekimen:今年こそ初音ミクの楽曲コンテストに応募しようと思って作り始めたのが経緯です。結局、他のことに忙殺されて応募できませんでしたが、僕がデモを書いてODさんに提案してから二人で広げていく流れで制作しました。
アレンジ面は元々詳細には決まっていなかったので、サウンド感はODさんに引き出してもらいつつ、ある意味作曲家と編曲家のようなすごく良いバランスで制作を進められたと思います。

OD:サビの入りが特徴的な曲なので、そこの旨味をどう活かしていくかを二人で揉みながら
進めて行きましたね。ストリングスを入れてみたり、かといって壮大すぎる曲にはしたくなかったのでSekimen君が作ったプロットの世界観に合う良い塩梅を模索して進めて行きました。

 

– 制作の中で特に意識したことや読者の皆様に聴いて欲しいポイントを教えてください。

Sekimen:作品を通じて主人公が明確に「愛して」というフレーズを使っているので、「この人は何を考えているのだろう」とか「どういう世界観なんだろう」とか、詩の裏側にあるストーリーを汲んでくれたらいいなと思っています。そのうえで、歌詞やメロディーの雰囲気から聴いた人それぞれが想うストーリーを感じてほしいです。

OD:アレンジ面に関しては自分がどうこうというより、Sekimen君が提示してくれた世界に対してのアンサーをアレンジでどう答えるかという点を意識して制作しました。あと、曲中の至るところにSEが入っているので、繰り返し聴いて「こんな音も入ってたんだ」って楽しんでもらえたら嬉しいです。

 

– 作品に使用した音源を教えてください。

OD:ピアノ音源はNATIVE INSTRUMENTS「NOIRE」と、UAD「RAVEL」のリバースモードをレイヤーで使用しました。ストリングスは主にSPITFIRE「SPITFIRE SOLO STRINGS」をカルテットで、うっすら厚みを出したいときはSPITFIRE「SPITFIRE CHAMBER STRINGS PROFESSIONAL」をレイヤーしています。アコースティックギターはNATIVE INSTRUMENTS「SESSION GUITARIST – PICKED ACOUSTIC」を使っていて、もちろん生で録るのも良いですが、今回はあえて楽曲のキャラに合うよう打ち込みでグリッドにぴったりな感じと無機質さを表現しました。ドラムはSpliceのサンプルを改造して使いつつ、生っぽいレンジ感とダイナミクスを出したいときにTOONTRACK「SUPERIOR DRUMMER 3」を使いました。

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– 最後にPEERLESS1.1kとして音楽を”ツクル理由”や今後の展望を教えてください。

OD:PEERLESS1.1kは自分の中のトレンドをアウトプットできる場でありたいと思っています。仕事で作るときは自分本位で作れないことがありますが、自主制作では自分たちの思うように作ることができる分、インディーズらしくて良いという心持ちで臨んでいます。

Sekimen:もちろん二人になることで表現できる幅も広がりますし、何より思いついたことを自分の権限で実現できる場として、PEERLESS1.1kは必要だと思っています。これから自分たちのサウンドを共感してくれる人に見つけてもらうために、PEERLESSの名にある通り唯一無二を追求していきたいです。

 

PEERLESS1.1k

クリエイター支援の一環として行われた「ソニコン – SONICWIRE SONGWRITING CONTEST: SPRING -」で、最優秀賞に選ばれたSekimen×ODが新たに結成したソングライティングユニット。

ボーカロイド音楽という共通のルーツを持ちながら、”PEERLESS”の名の通り独自の世界観を唯一無二の音で表現する。

現在インターネットを中心に多方面から注目を集め、自主制作の傍ら人気VTuberへの楽曲提供やゲーム挿入歌の書下ろしまで手掛ける。

 

Spotify

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Sekimen氏X(Twitter)

OD氏X(Twitter)


リリース情報

シングル「Love me.」(作曲PEERLESS1.1k/作詞Sekimen/編曲OD)

1.Love me.

 

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