【ZPLANE社20周年記念】代表2製品をご紹介!20年の歴史を同社の最高技術責任者・Tim Flohrer氏が振り返ります。
耳コピソフト『DECODA』、タイムストレッチ&ピッチシフトプラグイン『ELASTIQUE PITCH 2』などで有名なZPLANE社が、この度設立から20周年となりました!
今回はそんなZPLANE社の製品の中から『DECODA』と『VIELKLANG 2』の2製品をご紹介。是非この魅力的な製品に触れてみてくださいね。
さらに今回、ZPLANE社の生い立ちについて、同社のTim Flohrer氏にお話を伺った内容も掲載しております。是非そちらも併せてご覧ください。
耳コピという作業、音楽に携わる方なら非常に多くの方がされたことがあるでしょう。しかしまだ慣れてない段階での耳コピ作業は、「メロディライン」であったり「コード」であったり、はたまた「特定の楽器」であったり。様々な要素がごちゃ混ぜになっている音源から特定の音を聴き取るというのは、なかなか至難の技です。
その作業を効率化してくれるのがこの『DECODA』です。
使い方は非常に簡単&直感的で、まずはソフトに楽曲ファイルを取り込みます。すると本製品が楽曲を数秒で解析し、楽曲上に存在する音をピアノロールに表示してくれます。
さらにはコード解析も行ってピアノロールの上に表示してくれるため、ピアノやギターで演奏をするための準備はこれだけで整うことになります。
あとはそれを見ながら自分が耳コピしたい部分の音を見ていったり、その音の上にMIDIノートを書いていってMIDIファイルとしてエクスポートしたり…。なんと主旋律と思わしき場所を自動でハイライトして表示してくれるため、メロディーラインのコピーがメインの方であればよりスピードが向上することでしょう。
また注目は「FOCUS」機能。ある特定の楽器の音をコピーしたいのに、他の楽器に埋もれていて上手く聴き取れない…なんてこともあると思います。
この機能を使うと、特定のノートがある周囲の帯域に文字通り「フォーカス」し、その部分の音だけを聴くことができます。
また最近のアップデートでギターアンプシミュレーター『AmpliTube LE』のスペシャルバージョンが標準搭載。コードをMIDIファイルやChordProファイルでのエクスポートにも対応しました!これによってギターを接続して演奏の練習用として使っていただくこともできます。
さらにテンポの変更、キーの移調やテンポ解析など、その実力は留まるところを知りません。カバー作品を作るクリエイターや演奏者の方であれば、大いに役に立つソフトウェアです!
「コード」や「スケール」など、音楽的知識に自信が無い方でも、マウスのクリックだけで簡単にご使用いただける仕様が特徴です。
また、ピッチ補正プラグインとしても活躍するのがこのプラグインの素晴らしいところです。この機能ではピッチは勿論のこと、ドリフト(ピッチの揺らぎ)、フォルマント、ビブラートの追加、最適なビブラートの解析&コントロールに対応しています。ハーモナイズがメインでありながらも、その他の機能にも注目です。
ボーカルに対して行う人も多いであろうハーモナイズですが、ギターやシンセに対して使用することで厚みと迫力のあるパートを再現することができます。使い方次第で楽曲の可能性を広げられるプラグイン・エフェクトです!
ZPLANE社が設立されたのは、大学においてのことでした。CTO(開発技術責任者)である私と、開発マネジメントを務めるMartin Schwerdtfegerは小学校の頃からのクラスメートで、大学で2人が電気工学を専攻している時に、後に同社の研究責任者となるAlexander Lerchに出会いました。
我々は電気工学を学んでいましたが、興味を持たせてくれる分野は常にオーディオ関係でした。電気工学を学ぶことは、オーディオエンジニアになるための良い近道と言えるでしょう。
大学を卒業した後、3人は別々の音楽とオーディオプロダクションの分野で働き始めました。数年が経ち、何年もかけて独自のタイムストレッチやピッチシフトのコードを開発していた我々は、大手DAWやソフトウェア楽器メーカーから自分たちの技術に興味を持ち始めました。
私たちは、開発作業を丸ごと売ろうとするよりも、クライアントに技術をライセンスする方が良いことに気付きました。
この戦略が功を奏し、現在ではZPLANEのタイムストレッチとピッチシフト技術が、Ableton Live、FL Studio、Cubaseなどの主要なオーディオソフトウェアに採用されています。
ZPLANEは技術のライセンス以外にも、プラグインメーカーとしても名を馳せています。我々の開発は、技術が先に作られ、それに適したアプリケーションが後から出てくるという形で活用されることが多いです。
我々はピッチシフトの知識を豊富に持っていましたが、ベルリンのポストプロダクションで働いていた友人から、フィルムフォーマット間のフレームレート変換は作業の難しい部分であり、作業を行うには高価な機械を利用する必要があると聞きました。そして、それが『ELASTIQUE PITCH』の誕生のきっかけとなりました。
『ELASTIQUE PITCH』はZPLANEの最初のプラグイン製品の1つであり、今ではピッチシフトを要求される仕事の業界標準となっています。なんと驚くことに、日本ではティーンエージャーの女の子の声や、アニメ声を作る時に使っていただくこともありますが…。
『VIELKLANG』の時もそうでした。私たちは技術は持っていたのですが、クライアントの誰もがそれをライセンスしたがらなかったので、最終的にはそれを使って自分たちの製品を作りました。『VIELKLANG』は、リードボーカルトラックを入力すると、自動的にバックグラウンドハーモニーを作成するZPLANEの信じられないソフトウェアです。
ZPLANEは一握りの熱心な開発者だけのグループであり続けています。我々は皆、音楽のバックグラウンドを持っており、音楽に焦点を当てているため、製品のアイデアはそこから生まれています。
『DECODA』の背後にあるアイデアは、ソフトウェアを使って曲を学ぼうとしていた私自身のフラストレーションから来ています。私たちは、実際の音楽のタスクを助けてくれる「高度なもの」と、ギターを膝に乗せて使うように「シンプルなもの」の両方を求めて、開発を行いました。
『DECODA』はMacとPCに対応したアプリケーションで、読み込んだオーディオファイルをデコードし、テンポとスケールだけでなく曲中のコード進行も表示します。また、その曲をすぐに演奏できるようにするためのスマートなツールが多数搭載されています。
『DECODA』は我々にとって、「新しい領域への挑戦」そのものです。弊社の他の製品のほとんどは“すでに音楽技術に大きく投資している人”を対象としていますが、『DECODA』のユーザーには、新しい曲を覚えたい人や、技術に全く興味のないギタリストのような人が多いです。
今回ご紹介できなかった製品の中にも、素晴らしい製品をまだご用意しております。音質劣化を最小限に抑えたピッチシフトを簡単に行う『ELASTIQUE PITCH 2』や、オーディオのキー/スケールを自由に変更する『RETUNE』など、日々の音声処理の品質をグレードアップさせるためのテクノロジーが詰め込まれた全製品は、下記ページよりご確認いただけます。是非チェックしてみてください。
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