英国MusicTech のレビューでSPITFIRE AUDIOの「HZ02 – LOS ANGELES」と「HZ03 – LONDON SOLOISTS」が満点を獲得!
英国のMusicTechのレビューで SPITFIRE AUDIO の「HZ02 – LOS ANGELES」と「HZ03 – LONDON SOLOISTS」が満点を獲得したので、そのレビュー(和訳)ご紹介します!
Spitfire Audio 「HZ02 – LOS ANGELES」 & 「HZ03 – LONDON SOLOISTS」 レビュー
Spitfire Audio、ハンス・ジマー氏、そして氏のエンジニアチームはもう2つのシネマティック・パーカッション・ライブラリを制作し「HZシリーズ」の三部作を完成させました。レビューを担当しますキース・ゲムルです。
少し前ですが、この雑誌でハンス・ジマー氏とSpitfire Audioのコラボによって誕生したあの伝説的なライブラリ「HZ01 – LONDON ENSEMBLES」(以下HZ01)のレビューを紹介しました。
「HZ01」では4人のパーカッション奏者にフィーチャーされ、LondonにあるAIRスタジオでレコーディングされました。そして今、「HZ01」をプロデュースしたハンス・ジマー氏自身と、同じエンジニアチームから、新たに2つのライブラリが登場しました。
「HZ02 – LOS ANGELES」(以下HZ02)ではジェイソン・ボーナム氏がフィーチャーされ、ロサンゼルスの3箇所:「20th Century Newman Stage」「Sony Stage」ハンス・ジマー氏の「The Cathedral」でレコーディングされました。いくつかのモジュラーシンセ・ドラム・プログラムという形で、氏みずから特別な素材も提供しています。
「HZ03 – LONDON SOLOISTS」(以下HZ03)は、「HZ01」の拡張ライブラリと言えるでしょう。「HZ01」と同様に “ハイブリット・シネマティック・ワイドスクリーン・パーカッション” のコレクションが収録されており、LondonのAIRスタジオで、有名なパーカッション奏者のフランク・リコッティ氏が演奏しています。
【バッテリー・パワー】
先ずは「HZ02」から紹介していきたいと思います。ライブラリのルートディレクトリには2つのメインフォルダがあります。「Stereo Mix」と「Artist Elemnts」です。各フォルダには3つのフォルダがあり、各エンジニアがそれぞれにエディットした、ジェイソンのユニークなDW Vistaliteドラムキットのサウンドが収録されています。
エンジニアはアラン・マイヤーソン、スティーヴ・リプソン、ジェフ・フォスターです。上記で紹介した各フォルダには更にまた3つのフォルダが存在します。そしてその各フォルダには、ベーシックGMマッピングと、シンバル、キック、スネア、タムのパッチが収録された4つのフォルダがあるフル・パフォーマンス・キットが収録されています。かなり凄いライブラリです。
各キットは期待通りの実に素晴らしいサウンドで、クローズマイク、オーバーヘッドマイク、ルームに加えて、スペシャルなゲート・ルームマイクで音像を調整することができます。 さらにステレオミックスもあります。制作に十分な各種コントロール、フィルターなど、「HZ01」と同じような機能が沢山あるので、「HZ01」をお持ちのユーザーにとっては親しみのあるライブラリになっています。
ただ1つだけ不満があるのはGUIです。グレーの背景色と小さい黒いテキストは、読むのに少々苦労します。パフォーマンスキットは素晴らしく、ロック・ドラムキットとして信頼のある、使い勝手の良いキットです。しかしながら、既存のドラムキットよりも深いところまで行くことができます、個々のキットのピースをロードすることによって、必要に応じてサウンドにより更に作り込むことができます。
ハンス・ジマー氏のシンセドラムパッチは一番のご馳走と言えるでしょう。非常にパワフルで、危険なサウンド、そして80年代のダサいシンセドラムにはとても似つかないサウンドを鳴らします。ドライでクローズのヒットから、広大なシネマティックなサンダークラップまで、全てがエキサイティングでバラエティに富んだ、一点の曇りもないサウンドが収録されています。
【本当にこれが必要?】
「HZ03」を購入する1つの理由としては、これが「HZ01」を完璧に補完しているからです。「HZ03」では、「HZ01」のアンサンブルのパーカッションサウンドとは対象的に、ソロのパーカッションサウンドがフィーチャーされています。GUI、スクリプト、操作方法は同一です。「HZ02」はドラムキットが主体の方向性が異なるライブラリで、これを使おうとする大体のミュージシャンやプロデューサーは、少なくとも1つのサンプルドラムキットを持っているでしょう。とは言っても、ジェイソン・ボーナム氏のキットは本当に良くレコーディングされていて、魅力を取りこぼすこと無くプロデュースされています。ですので、もしあなたが「HZ02」を購入すれば、お気に入りのバーチャルドラムキットになることは間違いありません。
【パーカッシブ・パラダイス】
大西洋でレコーディングされた「HZ02」とは反対側、ロンドンでレコーディングされたソロ(HZ03)は、アンサンブルがメインだった「HZ01」に対するソロの拡張ライブラリと言えます。「HZ03」と「HZ02」の構造はよく似ています。2つの上位フォルダ:アーティストエレメントとアディショナルマイク。バケットとスネアを除き、収録されているインストルメントはあまり身近なものではないかもしれません。例えば、Djun、Tombek、Dohlなど。
もしこれらの楽器を場合は、GUIに表示されている画像を見てください。それがどのような楽器で、どのように、そしていつ使用するかが一目瞭然です。大体のマイクはクローズ、フロント、サラウンドで、各々はとても個性的なサウンドです。もしもっと必要なら、アディショナルマイクフォルダがあります。アーティキュレーションは沢山あります。例えば、Dohlには、Both Sticks、Top and Bottom Sticks、Both Hands、Top and Bottom Handsがあり、全てが直感的なマッピングでキーボードの上にレイアウトされているので、制作しながら、弾くことを楽しむことができます。
繰り返し言いますが、ジェイソン・ボーナム氏のライブラリには多様なコントロールがあります。期待通り沢山のシネマティック素材がありますが、それはバイオレンスなものだけではなく、静かで、デリケートで、精細なパーカッションサウンドも収録されています。
【これに代わるもの】
市場には他にも沢山のパーカッションやドラムライブラリがあるので、これに代わりのものを選ぶにはかなり混乱してしまいます。エピック・シネマティック・パーカッションを求めているなら、Native InstrumentのDamageは良いチョイスです。CinesamplesのDrums Of War、ProjectSAMのTrue Strikeも、多くの超大作に使用されています。もし、あなたが自身の作品に使うのなら、NIのAction Strikes には、たくさんのデザインされたリズムセットがあるので、壮大でシネマティックな雰囲気を出すには使いやすいです。
【ビート・マッピング】
Spitfireは現在、パーカッシブ・インストルメントやライブラリのインターフェイスの新しいタイプをフィーチャーしています。「HZ02」にはジェイソン・ボーナム氏のキットに3つの“テイク”を用意しています。1つはアラン・マイヤーソン氏、2つ目はジェフ・フォスター氏、3つ目はステレオミックスです。全てのキットのピースはセンターに表示されており、パネルを右に使うと、それらを個別に設定でき、MIDIコントローラーにマッピングすることができます。
【サウンド・アーティキュレーション】
「HZ02」を更に見てみると、ここでみられるベースドラム、タム、スルドのボーナスフォルダを見つけることができます。アーティキュレーションの詳細に注目して下さい。(赤い三角の中でハイライトされています)
【身近な見た目と感覚】
「HZ03」(ソロインストルメント)のGUIは、「HZ01」(アンサンブル)のと酷似しています。Overview Panelは、素早く簡単に、アーティキュレーション、マイクミックス、”easy tweak” コントロールのセットを読み込みます。
【より深いエディット】
「HZ03」をより深く調整するためのジェネラルコントロールパネルでは、基本設定、ラウンドロビン、ピッチオプション、ベロシティーレスポンスなどを調整することができます。
【チームワーク】
両ライブラリとも美しくレコーディングされ、1つの間違いもなく完璧にプロデュースされており、膨大なドラムヒットとサウンドメイクの可能性をお届けします。ミュージシャンなら誰でも知っているように、ハンス・ジマー氏は本来、数多くの映画を手がけるオスカー賞受賞のコンポーザーとして特に有名ですが、エンジニアとしても有名な人でもあります。
氏は長年をかけてシネマティック・サウンドの制作に対してとてもユニークなアプローチを開発し、その方法は世界中で影響を与えています。このライブラリであなたが得るものは、氏が今まで作ったサウンドの単なるコピーではありません。再現です。氏は、いつも一緒に映画のサウンドトラックを制作するチーム(エンジニア、奏者)と共にレコーディングスタジオに入り、このライブラリを制作しました。なのでもしあなたがリアルなサウンドが欲しいなら、この2つのライブラリはもってこいです。
【MusicTech評価】
(良)素晴らしいエンジニア
(良)素晴らしいサウンド
(良)傑出したドラムキット(HZ2)
(悪)GUIのテキストが小さい
(悪)オンラインマニュアルしかない
この2つのライブラリはそれぞれ独自の路線を行き、そしてどちらも驚くほど素晴らしいものです。ジェイソン・ボーナム氏のキットはシネマティック・ライブラリとしてレコーディングされていますが、優秀なヴァーチャル・ドラムキットにもなります。ベテランのパーカッション奏者であるフランク・リコッティ氏の高い技術は、ハンス・ジマー氏を含む、受賞暦のあるエンジニアのチームによって美しく収録されました。どちらもファーストクラス級の素材が詰まっています。