SONICWIRE

初音ミクV4Xβに関するQ&A(09/18:追記更新あり)

2015年9月17日 17:32 by wat

「初音ミク V4Xβ」とは?
「初音ミク V4Xβ」は、オリジナル「初音ミク」をベースに作られた「初音ミク V4X」の先行ベータバージョンです。発音や音質が改善されている他、新開発の「E.V.E.C.機能」により声の強弱の設定ができます。また、「初音ミク V3」の各種音声ライブラリーとクロスシンセシスが可能なほか、グロウルにも対応します。

 

「初音ミク V4Xβ」の無償配布について
「初音ミク V3」「巡音ルカ V4X」の両方をお持ちの方が、「初音ミク V4Xβ」をダウンロード頂け、2016年8月31日までの期間限定でお使い頂けます。両ユーザー以外の方のβテスト参加詳細については後日改めてご案内いたします。
「初音ミク V4Xβ」には、「初音ミク V4X」の一部音声ライブラリーが収録されています。製品版には複数のライブラリーが収録される予定です。

「初音ミクV4Xβ」の入手方法/詳細はこちら

 

【初音ミクV4Xβに関するQ&A】
 
初音ミクV4Xβは、以前の初音ミクと比べて音が変わりますか?

声質自体の特性は変わりませんが、多少声に張りと発音のスピード感がでて「キリッ」としています。
特にアップテンポな楽曲、ラップ調、早口気味などの細かく複雑な発音では、今までの初音ミクより大きく発音が聞き取りやすくなっています。逆にバラードやゆったりと歌う楽曲では、初音ミクV3との差が感じにくい場合も有るかも知れませんが、3~4曲歌唱比較テストをすると、発音のバラつきや、音質の差を感じることが出来ると思います。また、今回は「声がオケに埋もれにくい」方向性の調整をしています。エディター上では歌詞が聞き取れたのに、オケに混ぜると子音が聞き取り難いなどの現象が減っています。
 

初音ミクが苦手だった音域は、初音ミクV4Xでは改善されていますか?

推奨音域(G2~F4)から外れると厳しいですが、低音域の発音も綺麗に整えられており、G2~C3を多用する、低めの楽曲にもある程度順応します。また超高音で母音が聞き取り難い現象も減少しています。他にも「ばびぶべぼ」「だじずでど」などの比較的苦手だった濁音の子音は聴こえやすくなっています。
 

初音ミクV4Xβは、どのような人にオススメですか?

下記のような方々にオススメです
①初心者の方:細かい調声無しでカバーを歌わせても発音が安定性が高く、一定の歌い方をするため、ダイナミクスなどのパラメータで大まかな抑揚がつけやすいため
②激しい曲を作られる方:歌と、ギターやシンセ、スネアなどの大きな音が被っても子音が聴こえやすく声に張りがあるため声が潰れにくく、コンプレッサーなどの効きが良いため
③細かく歌を制御したい人向け。パラメータの効きが予測しやすいため
 

初音ミクV4Xβには、E.V.E.C.が搭載されているので初心者には難しいですか?

E.V.E.C.を使用してもしなくても極力綺麗に歌えることを心がけて設計されていますので、心配ありません。VoiceColorと本体DBはあまり音量差がないように整えられており、VoiceColorによって”声の張り”だけが変化して全体は馴染むように設定されています。特に「Soft」を使うと母音の張りが弱くなるので、メロディに効果的にはさめると、やわらかいイントネーションを作れるのでオススメです。また、音量チューニングとVoiceColorを合わせると効果的ですので、「Soft」を使う部分のダイナミクスを小さくしたり、「Power」を設定した部分ではダイナミクスを大きくすると声の張りが強調されます。逆のパターンも面白いので、是非、通常の声と聴き比べて使用してみてください。
 

初音ミクV4Xβの新機能を使用したオススメの使用方法はありますか?

初音ミクV4Xβをクロスシンセシスでプライマリ(マスター)になるように設定し、セカンダリ(スレーブ)に初音ミクDarkや、Sweetなどの声が柔らかめAppendライブラリを指定。更にクロスシンセシスの値を30~64くらいにして声を混ぜます。更にE.V.E.C.のVoiceColor「Soft/Power」を使用すると声の張りを、簡易的に操作することが出来ます。また、飛び道具的にVoiceColor「Power」とグロウルを組み合わせても良いでしょう。
※初音ミクV4Xβのクロスシンセシスは、SOLIDなどの声が張っているデータベースより、DarkやSweet、Softなどのデータベースの方がマッチすることが多いことが確認されています。
 

初音ミクV4Xβはベータ版という事ですが、今後どういった調整をされるのでしょうか?

下記のような作業を予定しています。
・βテスターの方々からのフィードバックによるチューニング
・VoiceColorの調整精査
・VoiceReleaseの追加調整
・一部新機能の検討(VoiceColorとは違ったカスタム音素の検討)
・一部音素のマイナーチューニング:主に「ら行」「ま行」「や行」などの音素を予定
・マルチサンプルの間のサウンドの補正チューニング
・推奨音域を広げることの検討
・ブレス音から子音につなぐ音素などマイナー音素実装の検討
・breathや子音単体のWAV素材の収録検討
・特殊な打ち込みの参考になるVSQXデータの収録
 

初音ミクV4Xβの動作環境/インストールに必要な容量はどのくらいでしょうか?

必要な容量はWINDOWS/MAC OS共に約2GBになっております。動作環境に関しましては、巡音ルカV4Xをお持ちの方であれば、問題なく使用できます。

 

初音ミクV4Xβを歌わせた時に気になる箇所があったのですが、どのようにバグレポートすればよいですか?

「初音ミクV4Xβ」に対するご指摘/問題箇所などに関しまして、問題箇所を含むVSQXデータを添付の上、vocaloid@crypton.co.jpまでメール連絡頂きましたら、その現象を調査させていただいた上で「初音ミクV4X」製品の品質向上のために使用させて頂きます。何卒よろしくお願いします。

 

E.V.E.C.機能のVoiceColorを設定すると設定前より発音(滑舌)が悪くなった気がするのですが?

VoiceColorは、いわゆる「母音分割(※VOCALOID Editor上で一つの発音記号を、発音記号+母音記号の2つに分割する手法)」相当の動作を行っています。細かい譜割りの場合、仕様上どうしても音素記号が詰まって、発音が母音に圧迫されてしまうことがありますので、注意が必要です。同様の仕様上の理由で、ロングトーンやフレーズ終わりにはVoiceColor設定効果が大きい事があります。

 

【その他のQ&A】
 
今回の初音ミクV4Xβは「初音ミクV3」と「巡音ルカV4X」を所有しているユーザーが配布対象ですが、どういった理由なのでしょうか?

まず「初音ミク」のヘビーユーザー様に新しい「初音ミクV4X」をテストしていただきたいという意図ありました。ただし、VOCALOID4エンジンと最新版のPiaproStudioをお持ちの方でないと、無償でVOCALOID4エンジンが使える事になってしまうため、「巡音ルカV4X」も持っているユーザー様を対象とさせていただいております。
 

初音ミクV4XβはPiaproStudio以外でも使えますか?

弊社ではPiaproStudioを付属させ推奨していますが、E.V.E.C.機能以外についてはVOCALOID4Editorでも全て使用できます。E.V.E.C.機能を使うには特殊な音素記号を把握する(a#2などのように、母音分割の後に母音の後にSOFTなら[#2]、POWERなら[#6]をつける)必要があるので注意して下さい(※非サポート)

 
製品ユーザー以外の一般参加のβテストについては予定はありますか?

DTMマガジンとの連動企画で先日より募集を開始しております。配布は10月上旬以降を予定しております。詳細は今しばらくお待ち下さい。

 

次の鏡音リン・レンV4Xの方向性はどうなりますか?

「子音や発音が聞き取りやすく、オケに埋もれ難い」特性を持たせつつ、リンレンらしい声を最大化出来るようにACT1の波形などを使用した調整を行っています。また、リンレンAppendのデータベースもリファインされて収録される予定です。※各ACT1とAppend Powerは統合予定。

 

次の鏡音リン・レンV4Xと初音ミクV4Xβの関係性はどうなっているのでしょうか?順番としてはリンレンV4Xの開発が先になりそうなものですが…

新たに導入したシステムによるVOCALOID制作において、発音や子音の最適化の実験/検証/実装を考えた時、我々が最初にじっくりと取り組んだ「初音ミクオリジナルの音声」を使用するのが最適だと考えました。初音ミクオリジナルは、新しい制作方式を作りこむのに声が張り過ぎておらず、検証を行うにも収録されたデータが多かったためです。現在は、初音ミクオリジナルで効果的だと実証済みの制作手法で「鏡音リン・レンV4X」の発音や声の伸びの調整を行っており、今後の初音ミクV4Xβに対するテスターの方々からの意見の一部も反映させていく予定です。

 

Q&Aに気になる情報が載っていないのですが?

製品サポートではない質問に関しては、vocaloid@crypton.co.jpまでお問い合わせ下さい。※開発スタッフ用のアドレスなので、返信が遅くなる可能性がありますことご容赦ください。

 

V4Xプロダクト企画制作担当:佐々木 渉(wat)