[Vocaloid情報]初音ミク2周年を迎えて
こんばんわ。2007年8月31日から2年の月日が過ぎ、初音ミク2周年のこの日も残すところ、後、数分となりました。今回は、節目と言う事で弊社代表の伊藤と開発担当の佐々木よりコメントを投稿させて頂きます。
【クリプトンの伊藤です。初音ミク2周年に寄せて(皆様への御礼)】
こんばんは、クリプトンの伊藤です。
随分ご無沙汰してしまい申し訳ありません。
今日は弊社『初音ミク』の発売2周年記念ということで、随分たくさんの方々からお祝いのメッセージをいただきました。またこの日に合わせたイベントも多く開催されていると聞きます。奇跡的にも2年目のこの日を迎えられたことは、常に素敵な歌を提供し続けてくれた『初音ミク』ユーザー様は勿論のこと、ネットの向こうよりその”確かな存在”を支持し続けてくれたファンの皆さまあってのことです。本当にありがとうございます!社員を代表しまして厚くお礼申し上げます。
弊社は今年で設立15年になりますが、15年間ずっと同じことを続けて参りました。それは「音を売る」という商売です。音楽を作る「サンプリングCD」や、映像用の「効果音」や「BGM」、それに楽器をパソコンに再現する「ソフト音源」と呼ばれるソフトウエア(『初音ミク』もこの一種です)など、じつに5千種類を超える”音のアイテム”を取り扱ってまいりました。
これら弊社の”音のアイテム”を購入してくれるお客様がいらっしゃることで、私どもが15年間も生きながらえてきたわけですが、弊社のお客様には共通した特徴がございます。それは、皆さんが「クリエイター」だと言うことです。「効果音」をお求めになる方には、映画、CM、ゲーム、演劇、WEBなど、映像を伴うコンテンツのクリエイターがいらっしゃいますし、「サンプリングCD」や「ソフト音源」をご利用になる方には、プロ/アマ問わず音楽クリエイターが多くいらっしゃいます。これらのクリエイターの皆さまに喜んでいただける製品やサービスを提供することが弊社の役割となります。
一方の弊社ですが、自分がクリエイターだと自負していることもあり(ええ、Photoshop 1.0が出ると聞いて愛用のMacintosh SE/30にVimageのビデオカードをむりやり積んで爆弾連発させてました)、自分達もまたクリエイターでありたいと常に意識しておりました。つまり、弊社は、お客様であるクリエイターに、役立つ製品やサービスをクリエイトする、我々もクリエイターでいたいと思っておりまして、そのため弊社は「メタ・クリエイター」(クリエイターのためのクリエイター)という会社の役割を自覚するに至りました。
クリエイターのためになる何かをクリエイトすることが、弊社が毎日毎日取り組んでいることに他なりませんが、先のブログ記事でもあります『初音ミク』の追加音源は、音声合成技術がどこまでイケるかの半ば実験の様なものでもあり、メタクリエイターとしてのwat達クリプトンVOCALOID班が寝食を惜しんで取り組んでいるテーマのひとつです。『ピアプロ』では、CGMというボトムアップなクリエイター文化がキチンとした形で世の中に認められるような仕組み創りを志向しておりまして、また著作権という壮大なテーマにも真正面から取り組んでいるものでもあります。その他、音楽ソフトウエアからケータイコンテンツの開発まで、弊社ではクリエイター目線で役立つ製品やサービスの開発に日々取り組んでまいりました。
弊社では引き続きこの取り組みに邁進し、クリエイターの皆さまに喜んでいただける製品創りや、皆さまの活動機会を増やしていけるサービス創りを極めて参りたいと考えております。平坦な一本道ではないことは重々承知していますが、音楽の未来に繋げる必要な仕事だと思っています。これからも変わらぬご支援・ご愛顧をいただけますよう、何卒宜しくお願い申し上げます。
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【VOCALOID担当の佐々木(wat)です。皆様への感謝と今後について】
初音ミクリリースから早2年。リズムゲーム「初音ミク -Project DIVA-」の反響や、本日開催された「ミクFes」のレポートを見ると本当にDTMソフトという枠を超えて大きく広がった「初音ミク」の存在感の大きさを感慨深く受け止めています。また有り難い事に、現在もより大きな枠組みを使って、初音ミクを、この文化を盛り上げたいと、SEGAさま、グッドスマイルカンパニーさまを含め幾つかの企業様からご提案などを頂いております・・・。
企業とクリエイターの方々とファンの皆さんと(余り実現した例の少ない)二人三脚の中で、我々の不手際でご心配をお掛けしたことも多く有りました。今、我々が前のめりになって営利主体に進む事も、逆に、新しい試みやサプライズを怯えためらう事も、共に許されない事だと感じております。心底気をつけて、一歩一歩着実に進みたいと思っています。
また現在、私どもVOCALOID開発班では、”CV01 Hatsune Miku Append”を含め、幾つものデータベース用に音声を収録しテストを行っております。今はここに少々無茶な予算がかけられる・・・のです。この状況を生かし、近い未来の初音ミク・鏡音リンレン・巡音ルカらの表現力向上に、また音声合成技術発展のためのソースとなって欲しい・・・なんとかして良い形で、この文化と技術を未来に繋げて行きたいと思います。
ただし、こちらも進化=正義という発想に陥らず、「声のイメージ」の曖昧さとも向き合いながら進んでいけたらと思います。(堅苦しい言葉ばかり連ねて申し訳ありません・・・)
今後ともご意見、ご批判など頂ければ幸いです。宜しくお願いいたします。
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