[Vienna特集]第2回 VSL社の歴史(その2)
『Vienna Instruments』特集の第二回目です。今回は本特集の主役であるVienna Instrumentsについて、前回と同様に文章と画像でご紹介いたします。
前回のエントリでは、VSL社の歴史ということでサンプリングCD製品である『1st Edition』、『Pro Edition』、『Horizonシリーズ』をご紹介いたしました。これらの製品と『Vienna Instruments』とで最も異なる点は、Vienna InstrumentsはサンプリングCD製品ではなくソフト音源製品であるということです。Vienna Instrumentsさえ購入すれば、ライブラリ(音ネタ)だけでなく専用のソフトウェアもついてくるということですね。
厳密には、Vienna Instrumentsを使用するためには、ライセンス情報を登録するための『Viennaキー』が必要なのですが、別途ソフトサンプラーを用意する必要はもうありません。
Vienna Instrumentsがソフト音源化した利点は、単純にソフトサンプラーを別途用意しなくて済むようになっただけではありません。Vienna Instrumentsソフトウェアには、VSL社の高品位サンプルを最大限生かすための各種機能が搭載されています。今まではパフォーマンス・ツールによって実現していたレガート奏法などが、Vienna Instrumentsでは特別な設定などしなくてもただ音色をロードするだけですぐに使用できます。ほかにもパフォーマンス・ツールを統合・進化させた機能がたくさんあります。このあたりは、後日ムービーも交えてゆっくり紹介していく予定です。今回は簡単なご紹介ということで、GUIを載せる程度にしておきますね。
さて、それではVienna Instrumentsシリーズの各タイトルを発売順に見てみましょう。
2006年3月
Vienna Instrumentsシリーズの5タイトル『Solo Strings』、『Chamber Strings』、『Orchestral Strings I』、『Orchestral Strings II』、『Woodwinds I』を国内リリース。まずはストリングス系のタイトルが中心にリリースされました。これらの違いは演奏者の人数で、Solo Strings < Chamber Strings < Orchetral Stringsの順に人数が多くなっていきます。
2006年6月
Vienna Instrumentsシリーズの5タイトル『Harps』、『Woodwinds II』、『Brass I』、『Brass II』、『Percussion』を国内リリース。これでウッドウィンドやブラスといった吹奏楽器、それにパーカッションも揃いました。この時点でPro Editionの全てはカバーしていました。
3月にリリースした5タイトルと合わせた計10タイトルのセット製品『Symphonic Cube』も出荷開始となりました。ここでVienna Instrumentsシリーズ第1章は完結したと言うことも出来るでしょう。
2006年12月
Vienna Instrumentsシリーズ第2章の始まりとも言える2タイトル『Saxophones』、『Elements』を国内リリース。これらはHorizonシリーズのタイトルがVienna Instruments化した製品ですね。『Elements』は、特殊パーカッション系を集めた『Grass & Stones』の後継タイトルです。
2007年1月
VSL社初の鍵盤楽器ライブラリ2タイトル『Konzerthaus Organ』、『Bosendorfer Imperial』を国内リリース。前回のエントリで「VSL社のライブラリは(ほぼ)全てのサンプルをサイレント・ステージで録音している」ことを書きましたが、その例外となるのが『Konzerthaus Organ』です。『Konzerthaus Organ』だけはサイレント・ステージではなく、Wiener Konzerthausというコンサートホールで録音が行われています。とはいっても、録音コンセプトは一貫していますのでご心配なく。VSL社が開発中の『MIR』というエンジンが完成した暁には、Wiener Konzerthausの音響特性を『Konzerthaus Organ』以外の全てのタイトルにも適用することが可能になります。
※残念ながらMIRの完成時期は未定となっております。
2007年2月
『Appassionata Strings』を国内リリース。『Appassionata Strings』は、『Orchestral Strings』を超える大編成によるストリングス・ライブラリです。
このように2007年3月時点でVienna Instrumentsは15タイトルがリリースされています(Symphonic Cubeはセット製品なので数に入れていません)。これ以外にも、発表はされたもののリリースされていないタイトルがいくつかありますので、これからもまだまだVienna Instrumentsは増えていくものと思われます。
これでVSL社の歴史は大まかに説明し終えました。次回からはムービーを交えてVienna Instrumentsソフトウェアの実際の威力を見ていただこうと思います。
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