[新作”長文”紹介]最高!BREAKBUSTERS。
連日紹介させていただいております、SampleMagic社。彼らからクリプトンに「日本で取り扱ってくれないか?」と言った内容のメールが届いたのが、今年の8月25日。いきなりカッコイイ、デモソングが飛び出してきたので、話はトントンと進み、本日の日本発売開始に至りました。
さて、昨日の「Breakbusters」の説明の中で、興奮して「デモソングでは伝わりきらない」と(本末転倒な)コメントしてしまった私。本日、自分で読み返して「そんな事言ったら、誰もわかんないじゃん!」という事に気づき、⇒「もっとシッカリ解説をしよう」という結論に達しました。
まず、BreakBustersのサウンドが入ったフォルダ分類をご紹介(下記のとおりになります)
・drum loops
・drum hits
?・kicks
?・snares
?・hats
?・crashes
?・percussion
・tops and percussion loops
・bass loops
・synth loops
・fx stabs and textures
・mashed vox loops
・scratch loops
※LOOPのBPM=125〜140
次に、今回参考にして頂くデモソング(改)が下記MP3。前回より、更に個々のループが、捕らえやすくバラされて鳴っております。
全部取り上げるとチョットした解説PDFサイズになるので、なんと言っても重要なドラム部分を重点的に紹介しましょう。
まずは、ドラムループのポイント!
1.デモソングからも分かるとおりに、単純なワン・ループ感を強調したものは無く、また、グルーブ感を失うような”無駄な詰め込み感”のないドラムループが中心となっています。
2.時間軸に対し、エフェクトの掛かり”始め”と、”終わり”が、高度な編集によってコントロールされている為、エフェクト感は絶妙。むしろエフェクトをパーカッシブに操っている感じが強いです。当然、残響コントロールも素晴らしいので、サンプルをスライスして”組み換え再生”する際にも、非常に使いやすい仕上がりです。なんちゃってダブ素材のような、グダグダ感はありません。
3.音の分離というか、粒立ちが最高です。バスドラのローエンドの底辺はココでディケイを若干しゃくって、、ゴーストノートは短めに、、スネアの強調感はこの帯域で”音の伸び”は付点8分、、ハイハットのアタック感は、はっきりさせつつリリースのザラつき具合がシッカリ聴こえる様に、、ベルっぽい金属的なハイトーン・ヒットをアクセントに使って・・・なんて、ミクロなレベルでコントロールしている超絶グルーブが楽しめます。ちなみに、同じような事をしていそうなのはVENGEANCEですね。
つぎに、単発ドラムのポイント。私もそうですが単発ドラム・ジャンキーです(このポイントにおいて過剰にオタク的です)。さて、単発ドラムこそ、サンプリングCDの”肝”です”命”です。(このCDの単発ドラムには本当に興奮させられました)
■バスドラのバラエティ、硬さ、重さ、歪み、長さ、さまざまなパターンの単発128音(例えば下記のような音が入っています)
↑”カリっとしたアタック感の後に伸びる、じんわりとした超低音(しかも、微妙な揺らぎ具合が最高)”これぞ、王道バスドラ黄金律!
↑”ビリッとくる、電撃的キック・サウンド”…しかも、波形中に散りばめられた、微細なグリッジが、短い音の流れに、躍動感を与えています。ザ・オリジナル!
↑”ふわっとした空気感と、絶妙のアタック感を持ったゴーストノート用バスドラ”…マニアックですが、コレこそが重要!!この影のバスドラが、グルーヴィにハマった時・・・イメージしただけで快感です。
↑最後はヤッパリ気になる高音圧型でしょうか?一見”四角い波形”=”オーバーゲインした歪んだ使えない音”に見えますが・・・?
拡大すると、こんな感じで、単純なクリップではなくプロセッングの一環として、歪みと、微細な空気感の重なり同居しています。う〜ん、ネクストレベル・デザイン!
・他にもハイセンスでなければ途端に”捨て音”になってしまうワウフラッターを活用した音や、808/909を独自の解釈でイイ鳴らし方をした音、それぞれのバスドラにコメントを付けれる位、確かなバリエーションです(上記は四角いサウンドが多いですが、普通の形の波形も沢山入ってます)。死角は有りません。
■スネアのバラエティ、軽さ、重さ、歪み(軽い痛さ)、長さ、ルーム感、さまざまなパターンの単発114音(例えば下記のような音が入っています)
↑過剰なWET感ではなく、絶妙なディケイの膨らみ具合と、硬さ、ダブリングっぽいアタックのズレで誇張される空気感。複合的に”湿り具合”を演出するSampleMagicクオリティ!
↑こちらは音圧高め。良く聴くと、高音成分がレイヤーされていて、独特の深みを出しているテクニカルな逸品。単にコンプで押し出すだけでは無く、サウンドのディティールをドラマ化している様子が伺えます。
・この他に、定番的なスネアも多数収録されていますが、全体に心地よい”張り”があって良い加減です。あと、残響/ルーム感/鳴りの処理はヤッパリ巧み。凝り具合も含め、この点では、至上最強かと思います。
■ハイハットのバラエティ、軽さ、硬さ、ヌケ、ノイズ成分ののり、長さ、ルーム感、さまざまなパターンの単発101音(例えば下記のような音が入っています)
↑絶妙な伸び方をするハイハット。波形では上手く確認できませんが、後半に若干”ねじれて”ノイジーな成分を徐々に上手く加えつつ、フッと消える。この流れが非常に非常に美しい。最高級のハイハットだと思います。
↑ローファイ系ながらも、高音の伸び方美しい、ハイハット。そしてリリース部では、沈みながら、ハムノイズを伴い、また一度浮き上がるという演出。この音に限らず、ハム、クラック、ヒスノイズまでを要所で巧みに使い分け、ライブな演出を施しているSampleMagic。
・ほかにも、バラエティ豊かなハイハット〜シンバルは、もう半端なく素晴らしい。バスドラムもスネアも最高ですが、このハイハットセクションが一番好きです。曲全体の空気感の演出を、ハイハットで上手くコントロールしようとするSampleMagicの妙技。恐れ入りました。
いい加減、長文過ぎになってしまいましたので後はダイジェストで、失礼します。
【トップ&パーカッション・ループ】
ハイハットの代わりになるような”刻み”を加えてくれる、様々なアイディア溢れるループが素晴らしい。アタックが出ているので、更にスライスして組み直すと効果テキメン。懲りながらシンプルに聴かせる妙技にため息が出ます。本CDのなかで最も即戦力で活躍してくれるのはこのループ達でありましょう。
【ベース・ループ】
GRIMらしい超低音の膨らみをもっていたり、攻撃的なパルス・ベースが有ったり、クールなアシッド・ベース、スプリングリバーブを絶妙にアタックに引っ掛けるシンセベースがあったりと、これまた素晴らしいベースばかりです。
【シンセ・ループ】
正確なディストーション・コントロールが、他のデザイナーと一線を画す素晴らしい攻撃的シンセリフ。アブストラクトながら奥に引っ込まないで立体感で魅せるアルペジオなど、勉強になるサウンドデザイン満載。
【その他】
スタブ&効果音のワンショットでは、他の効果音ライブラリでは得難い、かなりメリハリの付いた”立体的サウンド”が楽しめます。VENGEANCE FXに一歩も劣りません/音を抜き差しするタイミング〜流れに徹底した、使えるスクラッチ/声ネタは、エレクトロニカ・ヒップホップばりに刻まれ加工されたものが多いですが、それだけに同社のサウンドデザインのセンスが光ります。
●●最後にもう一度。本作は「デモソングでは伝わりきらない」ほど素晴らしく、細部のサウンドにこだわったライブラリです!●●
folder サンプルパック / サンプリングCD
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