SONICWIRE

[新作情報]総合ベース音源『Abstrakt Bass』紹介〜後編&発売開始〜

2006年9月29日 11:56 by wat

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先ほど発売開始となった『Abstrakt Bass』。後編/最終回となる今回は、技術的な要素の中で、ご紹介できていなかったポイントを重点的にご紹介。

「コンボリューション・エフェクトの活用」、「使用マイクロフォンについて」などのマニアックポイントにメスを入れます。

■コンボリューション・エフェクトの活用、IRの搭載。
KONTAKT2に搭載されている、コンボリューション・エフェクトを活用している、IR内蔵パッチが複数あるのも本作の特徴。具体的には、Soniccouture社がデザインした短めのショート・リバーブ、メタリック・アンビエンス類と、EMS Synthi AKSに搭載されている、スプリング・リバーブ(!!)を収録。当然、お望みの方は、プログラムのカスタマイズにて「Jupiter 8や、TB-303に、レアなスプリング・リバーブの残響を足す」なんてディープな楽しみ方も出来るでしょう。

■『VARI-AMP Technology』は”収録マイク”にもこだわっているんです。
24bitの音解像度にて、D.I./Close Mic /Distant Micで収録した音源を使用する『VARI-AMP Technology』。Close Micには、ベースドラムや、ベース・キャビネットに立てて使用される、低音楽器の録音に最適化された「AKG D112マイクロフォン」をチョイス、またDistant Micには、真空管マイクとして名高いRode K2を使用。ベースの収録にも、アンビエンスの収録にも最適と言われ、繊細なニュアンスの再現性が高いと評価される名マイクロフォンです。高音質を生かすためのサウンドメイクへのこだわりは、使用マイクからも見て取れます。

■特筆すべき、一流サウンド・デザイナーの”隠し味”。
以前にも「人の声(ブレス)から抽出したサウンド波形をアナログシンセサウンドに薄っすらと被せている」と言うベース・パッチをご紹介しましたが、他にも、独特の倍音成分を含む、木管楽器ディジェリドゥ(オーストラリアのアポリジニの民族楽器)を使用したベースなどが存在し、シンセベースとは一味違った、オーガニックなベースサウンドを聴かせてくれます。その存在は隠しベースという感じです。また、一部シンセベースでは、隠し味的なコントロール要素として、ベースの頭に付く「クリック音」(プチ、カチッという音)の音量調整が出来るのもが複数あり、細かくベースサウンドの印象や、アタック感を演出できます。余談ですが、アンディ・ウェザオール率いるセイバーズ・オブ・パラダイスのメンバーが、「クリック音」(プチ、カチッという音)の重要性を、サンレコ誌にて熱く語っていたのを思い出します。

以上、出来るだけ細かくご紹介できればと思い、全4回に渡って特集させていただきましたが、如何だったでしょうか?

Soniccouture社の製品全体に言える事ですが、サウンドを並べただけのライブラリとは違った工夫がされています。例えば、サウンドの特性毎にエンベロープが内部的に処理されていたり、KSPやIRが組み込まれていたりと、”パッチ”の部分に大きな魅力があるのです。これは裏を返せば、パッチの部分を再利用して、オリジナル・マルチサンプルと組み合わせてみたり、KSPなどをモジュールとして、他のパッチに適用してみたりと、アイディア次第で応用活用が効くという事。また、興味のある方は、元サウンドのループポイント等を波形編集ソフトで確認し、パッチの出音と聞き比べてみると、新たな発見が有るかもしれません。

個人的な感想として『Abstrakt Bass』は、ダンスミュージック寄りの総合シンセ・ベース音源と、『VARI-AMP Technology』による、エレクトリック・ベース集の二つの顔を持つ製品だと解釈しておりまして、従来のベース音源サンプリングCD〜現在のベース音源のフラグシップである「TRIROGY」、「MAJESTIC」までの”ストレートでピュアな”ベース音源とは違った、良い意味で”毒の有るサウンド”、ソリッドな音質や、音圧感が今までに無い感じの意欲的な製品だと感じております。それは各ベース音源製品のデモソングを聴き比べてみると顕著でしょう。

どうか興味を持たれた方はじっくりとご検討いただければ幸いです。

最後に、販売価格に関してですが、クリプトンでは、現在『ABSTRAKT KONKRETE』が、ヒットしており、その売り上げの報告と、本ブログで色々紹介しているWEBリンクを貼り付けてSoniccouture社にメール連絡した所、新作にあたる『Abstrakt Bass』の価格を、「日本特別価格にして良いよ。」との、サプライズを頂きました。この様な日本ユーザーへの優遇処置があった事をここにご報告いたします。