[特集] ヒップホップ専用・民族系ライブラリの利点について
現代的ヒップホップの定番スタイルの一つである”民族音楽ネタ”を使ったトラック。最近、そういった音ネタを専門に扱ったタイトルが増えている事から、その周辺のサンプリング事情と、定番/オススメ・タイトルについて考察してみました。
今回、注目するのは『ヒップホップビートに深みを持たせる手法として、民族楽器を組み込むという手法。』・・・例えば、タブラ等のパーカス類をトッピングするのは、90年代中頃のD&Bの流行後、特にティンバランドらが開拓して以来の定番ですし、上モノでもインド・ネタ、中華ネタなどは変化球的なアレンジとして一昔前から多数存在しており、別段新しさを感じさせるモノではないかも知れません。
が、逆に、民族音楽は実に範囲が広いので、新鮮なフレーズはまだまだ眠っている可能性が大きいとも考えられており、母国やルーツ回帰の象徴(例:日本人⇒和楽器ネタなど)として、注目している方々も世界的に多いと言われます。そう、民族音楽ネタは奥が深いのです。
その流れを受け、サンプリングライブラリでも、ヒップホップ用に音質/音圧を調整した「Oriental RnB」や、
『HIPHOP EXOTICA』などが続々とリリースされております。今までは、(図書館に有る様な)昔の民族音楽のCD/レコードからのサンプリングくらいしか手段が無く、野外でのワンポイント・ステレオ録音などが多かったため、”芯が無い”音源が多く、特に音圧重視のヒップホップネタとしては(メロディが良くても)音質的に適さない場合が大半だったのでは無いでしょうか? 上記サンプリングライブラリでは音質的にそこの問題を解決しているのは大きいでしょう。あと、”変拍子”や独特の”生演奏のヨレ”も程よく調整されていて、「”現地のオジサン方の合唱”が、楽器音にバッチリ被ってて”上手く抜けない”」って事も無いので、利点は多いでしょう・・・。(当然、オルタナティブな生生しさが欲しい場合は逆かもしれませんが)
さてそんなヒップホップ専用・民族音楽ライブラリですが二つの製品には、特徴的に差があります。大まかには下記の通りで、確信犯的なメロディ、和楽器ネタが欲しいなら『HIPHOP EXOTICA』、ディープな民族音楽を使いこなしたいなら『Oriental RnB』がオススメ。また、主要な”使える”民族音楽ネタも併せてご紹介します。
・「Oriental RnB」…アラブ圏〜ギリシャの楽器を収録、パーカス類を強調した変態系ビートも多い。声ネタが多いのも魅力的。”音が太い”民族音楽の音源と感じるほど、その完成度の高い本格派。demo mp3
・『HIPHOP EXOTICA』…ビートは西海岸よりの”G”な王道系を中心に揃えている。「エスニックなメロディ」,「和楽器ネタ(琴、尺八など)」などのインパクトの強い上モノを重点的に収録。例えば、奥深い中東の神秘、アジアンビューティのエロス・・・といった象徴的なイメージを与える、確信犯的なムードが魅力。demo mp3
・『WORLD PACK / ACID WAV』・・・ループから単音まで、兎に角、尋常じゃない量の音ネタを収録。クリプトンで最もお得なサンプリングライブラリの一つ。例えば、超重低音用の生ドラムである、スルドを含むラテンネタや、爽やかなケルト・ネタ、王道的なインド〜モンドネタも大量収録でお腹一杯です。※デモソングは載せきれないので、リンクからお願いします。
・『ORIGIN SERIES 05 PERCUSSIONISM』・・・その名の通り、定番から変態系までの打楽器が勢ぞろいしていて、リーズナブルなのが高ポイント。単発も収録しているので、クラップ〜ハイハットの代用になるような音ネタを探すのも楽しい所。一枚あると便利版。demo mp3
・・・という訳で、今回は新作『HIPHOP EXOTICA』に、和楽器ネタの事に関する問い合わせが多く、先日リリースされた『Oriental RnB』も結構需要があった事から2つを取り上げてみました。 余裕があれば各民族楽器に関する情報を、もっと詳しく発信できればと思っているのですが(そういった情報により、アレンジ時のモチベーションも上がりますしね)、それはまた別の企画として・・・。
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