シルクのような美しさを継承しながら
やわらかな深みのある色合い

Cinematic Strings Product Interview Presented by SONICWIRE

『CINEMATIC STUDIO STRINGS』(以下CSS) 導入の経緯をお教えください。

先行の『CINEMATIC STRINGS 2』(以下CS2)は、音質と使いやすさから、長らく僕のファーストチョイスとなっていました。現在の制作でも使用頻度は高いですし、Apple MainStage を使ったライブでもメインで使用しています。

そんなことから、CS2 の開発者の方々を信頼していましたので、CSS は出てすぐ!買いました。今ではすっかり僕のファーストチョイスとなっています。

CSS の主な用途をお教えください。

僕はクラシカルクロスオーバー系歌モノのバックトラックや劇伴などが多く、主にオーケストラサウンドのために使います。

打ち込みで完パケすることもありますが、生のヴァイオリンやカルテットをユニゾンで足す場合もあります。

仕事では、CSS をどのように活用されているのでしょうか?またお気に入りの奏法、サウンド、機能があれば是非!

僕にとってのストリングス音源は、レガートを美しく歌えることが最も大事です。先行のCS2 はロングトーンが非常に美しく、絶品と言って良いと思いますが、アタックとリリースのニュアンスのためか、輪郭はどちらかというとふわっとした印象になります。

CSS はCS2 より輪郭がはっきりして、よりリアルな印象です。ただしきらびやかというのとは違って、CS2 のシルクのような美しさを継承しながら、やわらかな深みのある色合いに感じます。もちろん奏法で変わってくる所もあるとは思いますが。

また名前の通り、確かにCS2 よりはスタジオっぽい音がします。少しきらびやかな感じが欲しい時には、CS2や派手な傾向を持つ他の音源と混ぜて使っています。

CSS は濃厚なビブラートのサンプルが素晴らしく、ノンビブラートから深いビブラートまでの振り幅が広い。これは繊細な表現をする時にはとても大事なことです。全ての音源を知っている訳ではありませんが、これまでの音源にはなかなか無かったアドバンテージだと思うので、そこが気に入っています。

あと、もちろんポルタメントもリアルですね。スタッカート、Pizz、他のいずれも秀逸です。スタッカートは長さの違いで4種あり、意外と重宝しています。

飯田氏 作曲/演奏。幅広いビブラートを活用するなど、CSS のもつ表現力の高さを最大限に生かした。

制作環境をお教えください。

Logic Pro X 10.4.4 がメインです。iMacのメモリは64GBですが、それでも足りない時は「VIENNA ENSEMBLE PRO」を介してSSD 付きのMacBook Proも使用しています。ただ、大抵の曲はiMacだけで足りています。

それから僕の場合は、昔からブレスコントローラーを頻繁に使用しています。ブラス、ウッドウインド系はもちろん、ストリングスもブレスコントローラーでのコントロールが基本です。カンタービレな表現を作りたい場合はマストアイテムだと思っています。現在はTEControl のものを使っています。CSS はブレスにも気持よく反応してくれます。

上記動画“Japanese Kimono”のセッション画面。ブレスコントローラーを用いて有機的なオートメーションを書き入れている。

ブレスコントローラーで、ダイナミクスとヴィブラートの両方をコントロールされているのでしょうか?

そうですね、ブレスでダイナミクスを、それとは別のパラメーターでビブラートを制御することもできるでしょうが、CSS の場合、ブレス(CC2)にダイナミクスとヴィブラートの両方を割り当ててしまっても、それなりに気持よいニュアンスで反応してくれます。(参考動画は、一括でコントロールしています。)

データエディットを重ねて作り上げるのも楽しいですが、僕はプレイヤーなので、楽器として気持よく反応してくれることが大事なのです。

最後に、ソフト音源へ今後の希望はありますか?

プラグインも楽器ですから、演奏性を高めた「弾いていて気持の良い、自在に反応する楽器」に進化していって欲しいな、というのはあります。

もうひとつ、ぼくは奏法チェンジのキースイッチが苦手で、、、(笑)。今や、どのオーケストラ音源でも一般的ですし、現状仕方ないのもわかるんですが、例えばメロディもキースイッチもノートデータと同じ扱いになってしまうので、工夫しないと全体をトランスポーズした時に音色が変わってしまうとか、途中再生時に音色を正しくならすのがめんどう、またスコアウインドウなどでも余計なデータが表示されてしまうなどの細かい問題を抱えています。

ひと頃、ENSONIQのキーボードなどにパッチセレクトというボタンのあるキーボードがあったでしょう?あれは最大4つしか選べませんでしたけどね。ノートデータを流用するというのは次善の策のように思えるので、ハード側も巻き込んだ新しい何かができないかなぁ、と思っています。

CSS はコントロールチェンジで全ての音色を切り替えることができますので、それも試してみましたし、iPadを繋いでTouch OSCという方法もあると思うのですが、自分にとってこれ!という感じになかなかなりません。

そんなわけで現在は、奏法ごとに別トラックで立ち上げ、iPadのLOGIC REMOTEで、演奏中にトラックを変えながら録音する、という荒技でやっています(笑)。

この方法ならワンタップで全ての音色にすぐアクセスできます。CSS どころかほかのプラグインのトラックへもワンタップです。奏法の視認性もいいし、ボリュームもエフェクトも個別に設定可能、トラックが増えすぎたらLogic側でサミングスタックすればまとめて扱えますし、ピアノロールでは奏法を色別でみることなんかもできます。

残念ながら、反応がキースイッチほど速くないのと、ダンパーペダルを踏みながらチェンジすると、音が残ったりするので、ライブにはお勧めできませんが(笑)、その問題をLogic側が解決してくれたら、もうこれでいいな、と。

もし可能なら、演奏内容に敏感に反応して、スタッカートで弾けばスタッカートの音色に、もっと言えば鍵盤を引っ掻けばPizz.になってくれたら最高ですけどね。生楽器がそうであるように。

そうすれば、より気持ちで弾ける「楽器」に近づいてくれる。サンプリング方式だとなかなか難しいところかもしれませんが、モデリング技術とのハイブリッド等にも期待しながら、なんとか実現してほしいな、と願っています。

飯田 俊明

(ピアノ、キーボード、ピアニカ他、作編曲)

クラシカルクロスオーバーを軸に、多彩なジャンルで活動を行うピアニスト、作編曲家。

ドビュッシー、ラヴェルなどに影響を受け作曲を始める。武蔵野音大大学院ピアノ科を修了し、PTNAコンペティションDuo特級最優秀賞受賞。その後、スタジオ・イオン専属として制作活動を始める。

現在まで、二期会、劇団四季、宝塚歌劇団出身のヴォーカリストや、岡本知高、平原綾香、ミネハハ、エスコルタ、中島啓江、元ナナムジカボーカル梢、ジャズの北浪良佳、インストでは、オカリナのホンヤミカコ、タンゴの喜多直毅、環境音楽ではドコモ携帯のサウンドデザインを担当した小久保隆などを演奏・作編曲でサポート。50枚以上のCD制作や、ライブ、TV(NHK、CM他)、映画、ゲーム、またアクアパーク品川(メリーゴーランド他)、六本木ヒルズ時報、万博パビリオンなどの施設に作品提供。

最近の活動には、NHKドラマ「ダルマさんが笑った」主題歌作編曲、ミュージカル田代万里生DVD音楽監督、安藤美姫アイスショー音楽アレンジ、岡本知高&サラ・オレインのデュエットアレンジ、春野寿美礼ニューアルバムアレンジ、松平定知らアナウンサーとの朗読コンサート、中村獅童との即興朗読コラボ、NHK BSドラマ「クロスロード」アレンジ、NHKBS-1スペシャル「沁みる夜汽車」音楽作曲などがある。

演奏力を元に、有機的な表現力を持った打ち込みアレンジが評価され、活動の場を広げている。

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