SONICWIRE

tatsuo 氏

tatsuo直伝ドラムMIXテクニック / Presented by Crypton Future Media, INC.

バンド「everset」のリーダー/ギタリストとして活動する一方、アレンジャー/コンポーザーとしてドラム音源を使用したバンドサウンドを数多く世に送り出してきたtatsuo 氏のドラムトラック制作方法を伝授!tatsuo 氏の通常のエフェクト処理行程に加えて、全行程をEZ mix 2 とEZdrummer だけでチャレンジした手順を公開!それぞれ各行程を確認できる音源を用意したので、サウンドをじっくり聞いてテクニックを身に着けよう!更に今回特別に、デモソングで使われているtatsuo 氏直々制作のドラムMIDI ファイルをプレゼント!MIDI ファイルは、イントロ~アウトロまで収録した長尺仕様。もちろんEZdrummer やS2.0 のMIDI ブラウザにも登録できます!おいしい部分を切り出して自分の楽曲に使うも良し、MIDI の演奏をバックにギターの腕に磨きをかけるも良し、活用方法は自由自在です!

※本WEBページで公開しているMIDI ファイルは、TOONTRACK 社製品用ドラムマップで制作されています。その他のドラム音源では正常に演奏されない場合がありますので、ご了承下さい。

tatsuo流ドラムミックス術!
使用製品
PATTERN 01

tatsuo メタル風インスト!以下の手順で制作したドラムトラックにギターとベース、SE を加えてミックス。ギターやベースを乗せたドラムトラックがいかにMIXされているか聞き取ろう!

Step1
EZX METAL MACHINE(無加工)
tatsuo's comment

単発が奇麗に抜けて聞こえるEZX METAL MACHINE を使用しました。ベロシティを細かく設定して、ノレるグルーブを演出しています。普段はマルチアウトでオーディオ化してからMIX していますが、今回は2mix で進めていきます。

Step2
コンプレッサーをかける
tatsuo's comment

2mix のアウトにコンプレッサーをかけています。僕の場合は、ドラムの2mix にCompをかける事で「音量を揃える」では無く、ドラムにノリや荒さを加えることをイメージしてかけています。コンプは、WAVES のH-Comp をよく使います。

Step3
キック/スネアに別の素材をプラスする
tatsuo's comment

Step2 にキックとスネアの別素材を重ねています。EQ でサウンドを処理するのとは違って、元のサウンドはそのままに欲しいところが補強できるので、サウンド感をあまり変えずにパワフルにできて重宝している方法です。

Step4
ドラムの簡易マスタリング
tatsuo's comment

Step3 を、最終形を見越して簡易マスタリングしました。Step3 で追加したキックとスネアは、低めのレベルから徐々にボリュームを上げていって気持ちのいいポイントを探してください。

使用製品
PATTERN 02

ドラムは気合だ!細かいフレーズを多用したドラムソロ風デモトラック!

tatsuo's comment

こっちは細かいフレーズが多いので、METAL MACHINE の抜けのよさがピッタリです。基本的にはPATTERN.01 と行程は同じで、Step2 で2mix にコンプをかけてノリをだして、Step3 でキックとスネアの別サンプルを加えてローを補強。Step4 で簡単なマスタリングを施しています。

EZMIX2を使ったドラムミックスにチャレンジ!

PATTERN 01 とPATTERN 02 のドラムMIXの行程を、全てEZMIX 2 とEZX だけを使ってtatsuo 氏本人が挑戦!各行程で使用したEZMIX 2 のパッチ名とパラメータの設定も大公開!tatsuo サウンドに近づこう!

PATTERN 01

EZMIX 2 Version

使用製品
Step1
EZX METAL MACHINE(無加工)
tatsuo's comment

せっかくなのでこっちはマルチアウトでオーディオ化して進めます。オーディオに書き出すまでボリュームは変えていません。書き出したオーディオにエフェクトをかけてからボリュームを調整していきます。ドラムキットはMETAL MACHINE を読み込んだそのままです。

Step2
コンプレッサーをかける
tatsuo's comment

先に説明した「ドラムにノリや荒さを加える」イメージのまま、Ambient とReverb 以外それぞれにEZMIX2 をインサートして、Snare(Top/Bottom)とTom だけをセンドしたBUS にリバーブをかけてます。更に、最後はBUS も含めてEQ でまとめてます。

EZMIX 2 パラメータ <【パート名】製品名: パッチ名(パラメータ値)>

  • 【kick】EZMIX2 PACK - CORE EXPANSION: kick Tape Punch
  • 【Snare Top】EZMIX2 PACK - METAL: D Snare(50% / 69%)
  • 【Snare Bottom】EZMIX2 PACK - METAL: D Snare
  • 【Hihat】EZMIX2 PACK - METAL: BS Hats(100% / 67%)
  • 【Tom】EZmix1(EZMIX2 標準プリセット): Tom Mellow
  • 【OverHead】EZMIX2 PACK - METAL: BS Overhead(42% / 50%)
  • 【Mono Room】EZMIX2 PACK - METAL: Drums over the phone(64% / 76%)
  • 【BUS(snare top、snare bottom、tom)】EZMIX2 PACK - METAL ESSENTIALS: Drum Verb
  • 【Drum 2mix】EZmix1(EZMIX2 標準プリセット): Drum bus
Step3
キック/スネアに別の素材をプラスする
tatsuo's comment

METAL HEADS のキック(14×26” Ludwig Amber VistaLite)と、ROCK SOLID のスネア(Gretsch USA Custom 5x14")をそれぞれSolo でレコーディングしたオーディオを用意して、Step2 にプラスしました。プラスするサウンドは、メインのサウンドに対して、足りない帯域を補う感じで探すといいと思います。今回は2 バスなのでMETAL MACHINE のタイトなキックをメインに、METAL HEADS の太い音を足してます。

EZMIX 2 パラメータ <【パート名】製品名: パッチ名(パラメータ値)>

  • 【Kick 2(METAL HEADS)】EZmix1(EZMIX2 標準プリセット): sub kick
  • 【Snare 2(ROCK SOLID)】Ezmix2: metal snare top(62% / 33%)
Step4
ドラムの簡易マスタリング
tatsuo's comment

メインのドラムキットと別サンプルのキック&スネアをまとめた2mix にリミッターをかけてます。ハイハットはボリュームのエンベロープを描いて、最初のカウントとか聞かせたいところだけを持ち上げました。ちなみに、ツーバスがドコドコいってるあたりは、そこだけ切り出して別トラック化して音量を落としています。場合によってはエンベロープを書くより手っ取り早いですよ。

EZMIX 2 パラメータ <【パート名】製品名: パッチ名(パラメータ値)>

  • 【Drum 2mix】EZMIX2 PACK - Mastering: Drum enhancer(20% / 29%)
EZMIX 2 Version 完成!
ギター、ベースとMIX/マスタリング
tatsuo's comment

オケのMIX は、最初のうちは自分のイメージに近い楽曲と聞き比べたりしてバランスを勉強していくといいと思います。

ドラムのアンビは、ドラム単体で聴くと元のままでバランスが良いけど、楽曲によってはあまりアンビがいらなかったりするので、今回はAmbience とReverb を他のトラックより-7dBくらいずつ落としています。Mono Room はガツンとコンピーなくらいに残してますね。プラスしてるキックとスネアは-4dBくらいです。

ギターとベースは、最初にドラムを作っちゃったので、それに合わせて自由気ままに乗っけてます(笑)。ちなみに、自分でベースを弾くときはいつもAVALON DESIGN のU5とBAE Audio の1073 を使って2 系統録ってるんです。芯が太いベースラインをつくって、カリっとした歪んだサウンドを足していっています。このデモでは、avalon をメインで、1073 をちょっと歪ませて音を作りました。

EZMIX 2 パラメータ <【パート名】製品名: パッチ名(パラメータ値)>

  • 【Bass Main(avalon)】EZMIX2 PACK - Core Expansion: Bass Head 8×10
  • 【Bass Sub(1073)】EZmix2: Evil Bass
  • 【Guitar Backing(L / R)】EZMIX2 PACK - Metal Guitar Gods: IA-Core Sound4
  • 【Guitar Solo】EZMIX2 PACK - Metal Guitar Gods: IA-Solo4(85% / 73%)
  • 【Master】EZMIX2 PACK - Mastering: Guitar Vocals Mastar
PATTERN 02

EZMIX 2 Version

使用製品
Step1
EZX METAL MACHINE(無加工)
tatsuo's comment

こっちは基本2mix で仕上げていきます!ドラムキットはMETAL MACHINE を立ち上げると読み込まれるそのままの状態です。

Step2
キック/スネアに別の素材をプラスする
tatsuo's comment

キックもスネアもMETAL HEADS のものを足しました。キックは14×26" Ludwig Amber VistaLite、スネアは6.5×14" Ludwig Supraphonic 402 です。まだこの段階ではエフェクトはかけていません。

Step3
ドラムのBUSにコンプレッサーをかける
tatsuo's comment

Step1 のMETAL MACHINEトラックのAUX からBUSへ送り、EZmix2 でコンプをかけてます。(※プラスしたキックとスネアは含んでいません)BUS のボリュームを調整してメインの2Mix(METAL MACHINE)とバランスを取ってます。

EZMIX 2 パラメータ <【パート名】製品名: パッチ名(パラメータ値)>

  • 【Drum AUX】EZMIX2 PACK - METAL ESSENTIALS: Drum Bus for AUX Channel(100% / 100%)
Step4
プラスしたキック&スネアの処理/トラックダウン
tatsuo's comment

File2のMETAL HEADS キックとスネアをEZMIX 2でEQ 処理し、File3と合わせてバランスを取りました。ちなみに、このデモは太い音のサンプルを足していますが、トラックダウンの時点で気が変わったら、足したサンプルの方をメインにしてしまってもいいと思うんですよね。聞いた感じの具合で臨機応変に!

EZMIX 2 パラメータ <【パート名】製品名: パッチ名(パラメータ値)>

  • 【kick(METAL HEADS)】EZmix1(EZMIX2 標準プリセット): kick-basic4(100%)
  • 【Snare(METAL HEADS)】EZMIX2 PACK - METAL: D Snare(57% / 69%)
EZMIX 2 Version 完成!
マスタリング
tatsuo's comment

このデモは、ドラムソロをイメージしているので、CDレベルまで音量を突っ込むのがメインでドラムだけで成り立つようなマスタリングをかけています。自分の中のドラマーに気合いが見えるようなイメージで仕上げましょう!

EZMIX 2 パラメータ <【パート名】製品名: パッチ名(パラメータ値)>

  • 【Master】EZMIX2 PACK - Mastering: Drum enhancer(11% / 20%)

EZMIX 2 とEZdrummer/EZX のみを使ったドラムMIX に挑戦した感想はいかがですか?

tatsuo:いや~、かなりキツいっす(笑)。というのも、完成形が既にあっての制作だったので、それに近づけていくのが大変でした。全然違う処理のパッチが並んでいるから、ゼロから始める時とか自分では思いつかない音のアイデアを探す時なんかにはピッタリです。もちろん初心者にはとても良いと思います!

でもこれ本当にEZMIX 2 以外にEQ も何も挿してないですからね!元のバージョンより、こっち(EZMIX 2 Ver)の方がレンジが大きくて迫力があるように聞こえる人もいるかもしれませんよね。EZX そのままだとローの感じが足りない気がしたので、EZMIX 2で試行錯誤したらしっかり出てきました。今ならどんなDAW でもEQ は積んでいるので、EZMIX 2 をかけたあとDAW 標準のEQ でいらない帯域を微調整してあげるといいと思います。EZMIX 2 のパッチはいろんなエフェクトを組み合わせられているので、たぶん開発側もそれ(微調整)を想定して作ってるようにも思うんです。僕、普段は本チャンのミックス/マスタリングはエンジニアにお任せしているんですけど、本チャンのエンジニアは僕と違ってローの処理はスッキリ仕上げるので、EZMIX 2 とEZdrummer/EZX だけを使った処理でも充分いけますよ!

tatsuo 氏

バンドeverset のリーダー兼ギタリスト。ビジュアル系エアーバンド「ゴールデンボンバー」全楽曲の編曲/Recを一手に担うほか、近年ではテレビアニメ「SKET DANCE」など多数作品で楽曲を手掛ける。仮面ライダー史上初、三作品連続での担当となった仮面ライダーウィザード主題歌、「Life is SHOW TIME」(鬼龍院翔 from ゴールデンボンバー)が発売中。2012年12月12日には、作曲/アレンジを手掛けるライチ☆光クラブのベストアルバム「-2011~2012 COMPLETE BEST-『黎明』」がリリース。

tatsuo 氏公式サイト

everset 公式サイト

Demosong Playlist
All Clear