黒沢ダイスケ氏オススメ
『SDX』『EZX』メタル向け拡張キット3選!
TOONTRACK社のドラム音源へ、ジャンルやスタイルに特化したドラムキット/MIDIグルーヴを追加する『SUPERIOR DRUMMER 3』専用拡張音源『SDX』シリーズと、『EZ DRUMMER 2』用拡張音源『EZX』シリーズ。その中でもメタル/ハードロック向けのライブラリは豊富なラインナップを誇ります。今回は、自身の楽曲制作にTOONTRACKドラム音源をお使いいただいている作編曲家・ギタリスト・サウンドクリエーターとして活躍する黒沢ダイスケ氏より、オススメの『SDX』『EZX』ライブラリをご紹介いただきました。
拡張音源『SDX』『EZX』について
TOONTRACKのドラム音源は、上位版の『SUPERIOR DRUMMER 3』、初心者にも扱いやすい『EZ DRUMMER 2』ともに多数の拡張キット『SDX』『EZX』がリリースされているのが大きな特徴です。デフォルトのままでも多数のドラムセット、プリセットを収録しているのですが、全く異なるスタジオ、異なるコンセプトで収録された拡張キットを使うことで、さらなるドラムサウンドのバリエーションを得ることが出来ます。
あまりに多数の拡張キットがリリースされているので、どれを選ぶか迷ってしまいそうですが、ここでは「メタル向け拡張キット3選」というタイトルで、オススメキットをご紹介させていただきます。
元々、TOONTRACKは『DRUMKIT FROM HELL』という、完全にメタルに特化したドラムのサンプリングCDからスタートしているだけあって、メタルはまさにお家芸とも言える得意ジャンルです。
まずは、今回ピックアップしたライブラリを動画にまとめましたのでご覧ください。
それでは、各ライブラリを掘り下げてご紹介します。
オススメ①『SDX - DEATH & DARKNESS』
まずは名前やパッケージ画像からしてメタルっぽそうなこちらのキット。こちらは『SDX(SUPERIOR DRUMMER 3専用の拡張キット)』です。『EZ DRUMMER 2』で使用することは出来ませんので、ご注意ください。『EZX』は『EZ DRUMMER 2』、『SUPERIOR DRUMMER 3』の両方で使用が可能です。
DeathとDarknessで、全く違うスタジオ、ドラムセットで収録されているので、実質2つの拡張キットが1つ分の価格で手に入るような感覚です。実際のサウンドは以下の動画や音源でご確認いただければと思いますが、録り音自体は割とナチュラルで、メタル限定というようなサウンドではないので、アタック強めで音数も多い歌モノなどでも十分に使えます。
ハイピッチ寄りのスネアが多いので、早いフィルや細かいゴーストノートでの表現もバックトラックに埋もれず、しっかり聴かせることが出来ます。Deathの力強くクリアなシンバルも、激しいギターやベースにも負けずに抜けてくれるのが好印象です。
動画では素の音で鳴らしましたが、以下の音源では同梱されているプリセットをそのまま使ってみました。
オススメ②『EZX - HARD ROCK』
続きましてご紹介する『EZX』シリーズは、『EZ DRUMMER 2』用の拡張キットですが、『SUPERIOR DRUMMER 3』でも使用することが出来ます。ハイピッチ寄りだった先程の『SDX - DEATH & DARKNESS』とは逆に、こちらは重心低めの重いサウンドが特徴です。
私自身多数の拡張キットを使ってきましたが、その中でも最重量級といっても過言ではないサウンドで、スロー~ミドルテンポの音数少ないタイプの楽曲でも、1音1音説得力のある音を出してくれます。
『EZX』シリーズは『SDX』シリーズより収録容量が少なく、アーティキュレーションの種類も少なくなるのですが、そのぶん各マイクトラックはあらかじめ作られたサウンドで収録されているので、エフェクトに頼らずともお手軽にそのジャンルの音を得ることが可能です。
オススメ③『EZX - DUALITY I』『EZX - DUALITY II』
最後は、こちらもメタル系のEZXシリーズです。『DUALITY I』と『DUALITY II』と2種類同時リリースということでしたが、『DUALITY I』はビッグでふくよかな低音、『DUALITY II』はタイトでアタック強めのサウンドとなっております。シンバルに関しては、『DUALITY I』は広がりがあり、『DUALITY II』はブライトな印象です。
ここで2つ提示したら、全部で4選では?というご指摘があるかもしれませんが、基本的には同じスタジオ、同じプレイヤーによる収録でサウンドも同一の方向性ですので、ここでは一括りとしてまとめてご紹介させていただきます。(『DEATH & DARKNESS』もキットで言うと2種類とも言えてしまうので...)
太鼓類に関しては、アタックが強すぎるとサウンドが高音寄りになり、低音が少なくなるという代償があり、個人的には太鼓類は『DUALITY I』、シンバルは『DUALITY II』が好みです。『SUPERIOR DRUMMER 3』、『EZ DRUMMER 2』ともに、複数のキットを跨いで合体させることができるので、DUALITY I・II 両方を使って、理想のキットを構築するのも面白いかもしれません。
まとめ
いかがでしたでしょうか。みんな違ってみんないい。ドラム音源はなんぼあってもいいですからね。
今回のサンプル曲として使用しましたオリジナル楽曲「斬鉄剣」を含む、自身のギターインストアルバム「BLACK ALBUM 4」がCDと各種配信にてリリースされております。TOONTRACK製のドラム音源もほとんどの曲で使用しておりますので、是非とも聴いてみていただけましたら幸いです。
最後に宅録ミュージシャンの皆様へひとこと、音楽制作にもっとも必要なものは「やる気」と「想像力」で、音楽ソフトなどの機材はそれらをサポートする、あくまでツールのひとつです。しかしながら、当然制作に行き詰まったり、悩んだりすることもあるはずです。そんなときに新しい機材で新しいサウンドを鳴らすと、今まで違った発想やモチベーションを得ることが出来るのもまた事実です。
はじめてドラム音源を使う方も、既にたくさん持っている方も、まだ自分の知らないサウンドを手にして世界をさらに広げてみませんか。
1983/02/23 生まれ
2003年、Dream Theater Official Songwriting Contestで2位受賞。
2006-2017年、96(クロ)名義にてゲームミュージック作曲家として11年間KONAMIに所属。
2013年、96名義での1stソロアルバム『BLACK ALBUM』をリリース。
2020年、3rdソロアルバム『BLACK ALBUM 3』をリリース。
主な提供楽曲
- BEMANIシリーズ/KONAMI:作編曲
- 夕星の芒野と消ゆ/EARTHSHAKER:作曲
- はなまるぴっぴはよいこだけ/TVアニメ「おそ松さん」OP曲:作編曲
- デンシンダマシイ/TVアニメ「BORUTO-ボルト-」ED曲:編曲
- 心誰にも/TVアニメ「シャドウバース」ED曲:編曲
- 零の位相/kradness:作編曲
- Dash & Strike/影山ヒロノブ:作編曲
シンコー・ミュージック・ムック「モダン・ギタリスト 特集: ジョン・ペトルーシ」奏法解説等執筆。
リリース情報
4thソロアルバム『BLACK ALBUM 4』
2022年1月19日 (水)リリース
- 脳天直撃 (Long Version) feat.穴山大輔
- Scarlet Cage (Long Version)
- VIRTUAL REALITY feat.平賀優介
- 斬鉄剣 feat.よしださくら
- Central Dogma pt.1
- Central Dogma pt.2
- NeCO
- Orbital Reboot feat.上田哲也
SONICWIRE取扱い全製品を表示したい場合は、SONICWIREを日本語で閲覧されることをお奨めいたします。