
あまりの制作成長ドキュメント
~第1回|現状と躓き編~
なんとなく形にはなったけれど、どこか物足りない。完成と言い切るには少し違う気がする——。
楽曲制作をしていると、そんな“あと一歩”で手が止まってしまう瞬間があります。
今回の連載では、昨年開催された「SONICWIRE CONTEST 2025 - 歌モノ編 -」で優秀賞を受賞した、DTM歴2年半のクリエイター・あまりさんが、新規楽曲の制作を通して感じた迷いや試行錯誤の過程を、そして少しずつ形になっていく変化を、リアルにお届けしていきます。
受賞経験のあるクリエイターでも、「これで完成と言っていいのか分からない」「なぜか違和感が残る」と悩みながら制作を進めています。同じように楽曲制作で迷っている方や、「作ってみたいけれど難しそう」と感じている方にとって、今回の連載が少しでも制作へのヒントや後押しになれば嬉しいです。
第1回は、“まだ完成が見えていない状態”からスタートです。
初めまして!!あまりと申します。
現在DTM歴は約2年半で、2023年の10月よりDTM教室へ通い始めました。
元々歌を歌うのが大好きで、様々な曲をカバーしているうちに、自分でも歌を作ってみたい!と思ったのがDTMを始めたきっかけです。
この度なんと、クリプトン・フューチャー・メディア様にお声がけいただき、楽曲制作の過程を記事にしていただけることになりました…!
楽曲制作についてはまだまだ未熟な部分が多く、きっと完成まで沢山迷走してしまうと思います。紆余曲折や奮闘も含め楽しんでいただけたら嬉しいです!
「自分の中にいるもう一人の自分との葛藤」をテーマに制作スタート
今回は、「自分の中にいるもう一人の自分との葛藤」をテーマとした楽曲にしたい!と思い立ち、制作を始めました。
少し色褪せていて影のある曲想にしたい!と、ひとまず以下をリファレンス曲として設定しました。
リファレンス曲は、曲を真似するためというより、「自分が作りたい空気感」や「サウンドの方向性」を具体的に把握するために設定しています。制作初期の段階で軸となる曲想を決めておくことで、「自分はどんな曲を作りたいんだっけ?」と迷子になりにくくなる気がしています。
リファレンス曲を集めてみたものの、これらが何というジャンル名なのかを知らない…
ChatGPTに聞いてみたところ、共通して「オルタナティブ・ロック」というジャンルに当てはまるとのことでした!!へぇ~~
最近はAIがあの手この手で作曲を強力にサポートしてくれるようになったので、音楽知識や理論、DAWの操作、プラグインの活用法などに多少疎かったり、途中で躓いたりしても、どうにか乗り越えられる場面が増えました!!本当にいい時代になったものです…
まずは1コーラス制作。でも、なんだかのっぺりしている…
まずは1コーラス分、コード進行やドラムのリズム、大体の曲想を決めました。
今回の曲では、“色褪せた質感”を出したかったので、エレキギターとアコースティックギターをサウンドの中心に置いています。コード進行については、リファレンス曲のひとつである「あなたのことをおしえて」で使われている「2-3-6-1進行」の、少しクールで陰影のある響きが今回のテーマにも合いそうだと思い、同じ進行を軸にしてみました。
ドラムは、楽曲全体が重くなりすぎないように、あえて淡々と進むリズムを意識しています。感情を大きく揺さぶるというより、“記憶の中をひとりで歩いている”ようなイメージにしたくて、静かに進んでいく空気感を目指しました。
現時点ではまだメロは決められていません。アレンジも、まずは曲想を固めるために少しだけ進めている段階です。
▶ ラフ音源
実際にラフ音源を聴いてみると、 想定していたよりずっと上手くリファレンス曲の雰囲気に寄せられました。嬉しいです!
ただ、なんとか展開に緩急をつけようと、
- Bメロで静かになるセクションを入れる
- サビで転調する
など色々試してみたのですが、なぜか全体の展開がのっぺりしている気がしてならない…。“変化を入れているはずなのに、変わって聴こえない”感じがすごく難しいです。
ギターの雰囲気は気に入ってる。でも別の問題が…
アコギとエレキの2種類のギターを使ったことで、目指していた色褪せ感や影のある感じは、かなりうまく表現できた気がしています!
ただ、制作を進めていく中で別の問題も発生しました。
28小節、30小節目の3-4拍目
アコギには『Ample Guitar T 4』というソフトを使っているのですが、なぜかE7のコードを鳴らすときだけ謎の金属音?が鳴る問題が発生してしまいました。
ベースには『MODO BASS 2』というソフトを使っています。演奏にスライド(ドゥーンと弦を押さえたまま音を上下させる奏法)を交えたいのですが、思っているようになりません。
14小節目後半
ピッチベンドを使って1オクターブ下まで下げたいのに、途中で止まってしまう…
「慣れてきた」と思っていたのに…
これまで数曲制作してきて、プラグインやDAWの操作に慣れてきたな〜と思っていたのに、未だに使いこなせていない部分があるということが発覚し、未熟さを痛感しました。
特に今回発生したギターやベースの問題は、この時点では完全に行き詰まってしまっていたのですが、のちに原因が判明し、「ちゃんと理由があったんだ…!」と分かります。
アレンジにおいても引き出し不足・知識不足を痛感しています。リファレンス曲をもっと聴き込み、自分の曲に足りない部分は何なのかを見つけたいです。
次回に向けて
まずは現状悩んでいる
- 全体の展開がのっぺりしている問題
- アコギの金属音問題
- ベースが1オクターブ下がらない問題
この3つをどうにか解決したいです。そのあと徐々にアレンジとメロ作成も進めていきたい…!
“なんとなく作れた”から、“納得して仕上げる”へ。
その間にある迷いや試行錯誤こそが、 楽曲制作における大きなステップなのかもしれません。
次回は、実際にどのパートをどのようにブラッシュアップしていったのか、具体的な試行錯誤の過程にフォーカスしていきます。
あまり
透明感のある歌声と物語性の強い歌詞を軸に、J-POP・エレクトロポップを中心とした楽曲を制作しています。
作曲コンテスト ソニコン2025 -歌モノ編- 優秀賞、DTM甲子園 2025 金賞、じゃがレコードアワード2025 優秀賞。
歌・作詞・作曲・編曲・ミックス・マスタリングまで自宅スタジオで制作しているシンガーソングライターです。
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