SUI 氏

AMPLE SOUND SPECIAL INTERVIEW / Presented by Crypton Future Media, INC.

ジャンルを問わず、様々な楽曲で使用される楽器の一つであるギターは、打ち込みでの再現が難しい楽器としても挙げられます。様々な特徴を持つギター音源が登場する中、扱いやすさとクオリティを両立するギター音源をラインナップするAMPLE SOUND社の製品について、ダンス系からポップス、アイドル、劇伴、CM音楽まで、多岐に渡って手掛けるSUI氏(作家/トラックメイカー/エンジニア)に話を伺いました。(2017年8月)

制作環境を教えていただけますか?

自作WindowsマシンでSteinberg CubaseとAbleton Liveを使っています。OSはWindows10、DAWはそれぞれ最新のバージョンです。歌ものや劇伴の作曲・アレンジ案件はCubase、ラップ曲などビートメイク要素が強い案件はAbleton Liveと使い分ける感じです。

これまでアコースティックギター音源『AMPLE GUITAR M II』と、エレキギター音源『AMPLE METAL ECLIPSE II』をお使いいただいていましたが、どのように活用されてきたのでしょうか。

『AMPLE GUITAR M II』(以下、AGM)はアコギの爪弾きアルペジオや、コードのカッティングなどで使っています。『AMPLE METAL ECLIPSE II』(以下、AME)は、サビパートの奥でジャーンと鳴らすようなサウンドの屋台骨的な使い方をしたり、Aメロパートでパワーコードを刻む時などに使ってきました。ちょっと前までは、後で生演奏を録り直す前提でギターのガイド的に使う程度でしたが、最近では打ち込みのギターは打ち込みのギターとして受け入れられているところもあり、生演奏をブレンドすることなく最後まで使うケースも増えてきました。

コンポーザーやアレンジャー、エンジニアとしての活動の中で、様々なジャンルのギターサウンドを扱うことも多いと思いますが、生のギターと比べてAMPLE GUITAR の再現度はいかがですか?

特にアコギとウクレレ『AMPLE ETHNO UKULELE』、そしてセミアコ『AMPLE GUITAR HOLLOW II』(以下、AGH)の生々しさに驚きました。ちょっと細かいのですが、アコギって生演奏だと発音する直前に弦が引っ張られる瞬間があるんです。弦もその場の空気も緊張が走る、、、みたいな感じ。そして弦を弾いた後にボディとの共鳴音が音の芯にくっ付いてくる。音の切れ際に弦とフレットが離れる瞬間の小さなノイズも。それらは実音ではありませんが、生演奏の収録とプログラミングを分ける重要な要素。これがAMPLEサウンドの製品にはうまく収録されていると感じました。

AMPLE GUITARのギター音源としての使い勝手はいかがでしょうか。

最初にこれを使ってみようとなった時の、入り口の分かりやすさが印象的でした。同一弦上のノートを複数入力すると自動でハンマリング・オン、プリング・オフまたはスライドで発音されるSTANDARD MODEと、MIDI鍵盤の演奏に沿って制限なく発音されるKEYBOARD MODEが用意されているのはとても便利です。前者はギター演奏としてのリアリティを追及できますし、後者はとにかくギターの音をアンサンブルの中に入れておきたいときに素早く作業できます。これらのギター特有の奏法はキースイッチで指定することも可能で、スイッチング・エラーもなくタイミングが遅れることもありません。このほか、キースイッチに演奏時のフレットノイズやボディを叩くパフォーマンス音、弦を叩いてミュートするニュアンスなど十分に用意されていて、配置も秀逸です。

STRUMMERモードでは、左手でコードを指定し右手でストロークをコントロールするのですが、C3~B4までの間に各弦ごとのピッキングを盛り込んであるので、バッキングとアルペジオを混ぜた演奏も直感的に行えます。左手のコード指定も、各ノートに1つずつコードを指定するモードと、MIDI鍵盤からのコード演奏(または打ち込んだMIDI情報)をギターのコードで読み取ってくれるモードがあり、これもとても便利です。他社製品を含めこれまでいろいろなギター音源を使っていますが、どれも入り口がわかりやすい点では拮抗しています。しかしいざOKテイクとして仕上げる場合には、AMPLE SOUNDの製品がリアルな音質と演奏指定の細かさといった点で頭ひとつ抜けていると感じることが多いです。

ギター音源は打ち込みが地獄と言われがちですが、AMPLE GUITAR を使用したギタートラック制作はいかがですか?

ギターをメインにした楽曲をあまり作らないので、その地獄は味わったことがありませんが、AMPLE GUITARを使うと「楽だ~」と毎回思います(苦労してなくてすみません)。ある程度使い方を習得してしまえば、製品のどのモードで打ち込めば求める演奏に最も近いか判断できますし、リアリティのある演奏と音を短時間で構築できるので、ギターのサウンドでクライアントやディレクターを不安にさせることも少ないです。

AMPLE GUITARを使用する際に、よりギターらしさや生っぽさを出すための打ち込みテクニックやパラメータ設定などはありますか?

先に申し上げた通りギターに関して打ち込みのテクニックをそれほど持っているわけではありませんが、空ピックやノートオフの所作をキースイッチを駆使してしっかり作りこむとグルービーな演奏になりやすいです。またソロパートでは、スライド奏法やチョーキング、ハンマリング・プリングなども仕上げ段階で適宜盛り込んでいます。

AMPLE GUITAR を使用する際の音作りで、お勧めの処理はありますか?

AGMは最初からFXタブのリバーブが挿してあるので、オフにするようにしています。オンでも仕上がりの音としては問題ありませんが、オフにするとまさにマイクを通して収録したような生々しいアコギになります。また音源がステレオ収録なので、WIDTHノブで左右の広がりを調整します。打ち込み音源としてある意味仕上がった音で使いたければ広め、バンド的な一人一役的なサウンドであれば狭くして使っています。

AMEは逆にFXタブのエフェクトを適宜オンにして使います。ストンプ型のエフェクトが一通り用意されていて歪み系だけでなく、ワウペダル、フェイザー、コーラス、ディレイなどもあるので、打ち込みつつ音色もここで詰めていく感じです。外部プラグインを使う必要があまりないのも助かります。こちらはDOUBLEという機能で、ユニゾンで2本分鳴らすことができます。インストゥルメントを2つ用意する必要もなく、ダブルな感じも自然なのでとても便利な機能です。

今回、新たにAMPLE BASSシリーズもお試しいただきましたが、ご感想はいかがですか?

ベースは僕自身も長く演奏しているので細かいニュアンスまでこだわりがありますが、とても納得のいくものです。特に指弾きの場合ギターより弦が太い分、実音の直前に指の腹と弦がこすれる特有のノイズがあるのですが、これがうまく収録されているところが素晴らしいと思いました。また、長いノートを鳴らした際の弦振動が収束しボディとの共振に飲まれていくニュアンスが秀逸です。アンサンブルの中だけでなく、ソロ楽器としての使用にも十分に耐えられ、普通に聞いても生演奏か打ち込みか区別がつきにくいかもしれません。またアコースティックベースでは、わざと強いピッキングを行うことでアクセントの音を際立たせる独特の奏法があるのですが、こちらも再現可能でその頻度を調整可能な点もお気に入りです。

AMPLE GUITAR/AMPLE BASSのVer2.5より追加されたRIFFER機能についてはいかがでしょうか。

RIFFERと言われて最初なんだろうな?と思っていました。文字通りリフを生成していく機能ですが、気に入ったリフやバッキングがあったらドラッグ&ドロップでDAW上にMIDIファイルをインポートできるのが便利だと思いました。ワンリフを押し通すだけでなくコード進行に合わせて細かい調整も可能です。またグルーヴを演出するための細かいミュートやスライドなどもキースイッチとして収録されていて、こちらもMIDIファイルにくっ付いてくる(当然といえば当然ですが)ので、DAW上で打ち込みの研究をすることもできます。新機能でまだ使い込めていないところもあるので、とりあえずはランダムでリフを呼び出して気に入ったらDAW上に落としてエディット、という工程を繰り返しています。

AMPLE GUITAR/AMPLE BASS シリーズの中で、特にお気に入りの製品はございますか?

特に気に入っているのはやはりAGMです。アコギ一本で押し通すアレンジにも耐えうるクオリティなので使用頻度が高いと思います。ササっと打ち込んで概要をプレゼンしたり、1音1音時間をかけて演奏を練りこむ場合にも対応してくれるので、デモから仕上げまでこれ一本で押し通せるところが気に入っています。次に、最近使い始めたセミアコ(AGH)とテレキャスター(『AMPLE GUITAR TC II』)です。音が太く、先にも述べた通り音符を置いていくだけでそれっぽくなるので大変重宝しています。製品づくりという点でもセミアコとテレキャスターの出音は各社なかなか解釈が分かれるところですが、個人的にはAMPLE SOUNDのものが一番のお気に入りです。立ち上げた瞬間からそれっぽい求めている音色なので便利です。特にAGHは自分のプロダクションの傾向にも合っているところがあり、既に数曲で使用してそのままOKテイクになっています。

最後に、AMPLE GUITAR を含むギター音源を使用する際のアドバイスがあれば。

ギター、ベースの音源を使用する前に実際の演奏を体感(演奏自体がうまくなる必要はまったくありません)したり広く見聞きしておくと、いざ製品と向き合ったときにそれが何の音、またはどんな演奏なのか想像しやすいと思います(特にノイズ系のキースイッチは)。AMPLE SOUNDの場合はオリティが高い分、サウンドの指向と製品が細かく分かれるので選ぶのも大変ですが、初心者の方は好きなバンドやプロデューサーがどのギターやベースを使っているか、などで選べばとっつきやすいと思います。またMIDI鍵盤は61鍵以上のものだとキースイッチが一挙に鍵盤上に並ぶのでより扱いやすくなります。

ありがとうございました。

SUI 氏 - 作家/トラックメイカー/エンジニア

ヒップホップ、R&B、EDM のトラックメイク・制作手法に精通し、作曲からアレンジ、ミキシング、マスタリングまで幅広く手掛ける。EXILE ATSUSHI、EXILE SHOKICHI、三浦大知をはじめとするダンス系から、Nissy(西島隆弘)、ももいろクローバーZ、リリカルスクールなどのポップ系、アイドルまでアーティストへの楽曲提供は多岐に渡る。また DJ MURO、DJ HAZIME などヒップホップ系プロデューサーとの共同制作で手腕をふるう。近年テレビドラマやアニメ劇伴、CM音楽へも進出。機材誌での執筆、各種セミナーやブログを通じて DAW、音楽制作に関する情報を幅広く提供している。

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