インタビュー一覧DIGITAL SONIC DESIGN 様

DIGITAL SONIC DESIGN 様

CINEMATIC LIBRARIES INTERVIEW / Presented by Crypton Future Media, INC.

ゲームの世界観やテンポ感をも演出し、プレイヤーをゲームの中へと引き込ませる大きな役割を担う"ゲーム・ミュージック"。名作とうたわれる作品の中でも、そのゲーム内容以上に音楽 がプレイヤーの心に刻まれれているケースも少なくありません。この"ゲーム・ミュージック"を中心に、多くの作品にシネマティック系音源を活用した楽曲を提供している音楽音響制作ユニットDIGITAL SONIC DESIGN様(以下、DSD様)に、現場におけるシネマティック系音源の感想や使用例などをきいた。

シネマティック系音源は何をお使いですか?

DSD様:現在メインで使用している音源は、

です。

これらのシネマティック系音源を導入されたきっかけは?

DSD様:PC やサンプラーの性能が上がるにつれ、オーケストラ音源もどんどん生演奏に近い表現が出来るようになり、MIDIシーケンサーの制作環境でも高いクオリティが実現可能になりました。私達もこれらの音源を使ってオーケストラ楽曲を制作する事に魅力を感じ、各メーカーが持つ音源の特徴を制作する曲調に合わせて求めて行くうちに、同じ楽器の音源でも種類が増えてしまいました。

シネマティック系音源を使用してみての感想はいかがですか?

DSD様:例えば、多くのオーケストラ音源は、オーケストラの楽器毎に分けて作られているため、プロジェクトを構築するのに少々手間がかかります。それに比べて、Symphobiaは、弦であればヴァイオリン、ビオラ、チェロ、コントラバスといった分け方ではなく、全ての弦パート(ヴァイオリン~コントラバス)をミックスしたアンサンブル音源として組まれているので、ひとつパッチをロードするだけで、アンサンブルの音を出せる手軽さがあります。また、ザッと弾いただけでも、各アンサンブルのバランスがちゃんと取られている作りをしています。

オーケストラ・ブラス音源の中でもOrchestral Brass Classic は他のブラス音源より輪郭がハッキリしている感じがして、オーケストラ・ブラスと言えばコレを使うと決めている程、好んで使用しています。

そして、今話題のLA SCORING STRINGS は奏法に拘った作りとなっており、音源の仕様に「なるほど」と納得してしまうくらい良く出来たストリングス音源ですね。

お使いのシネマティック系音源で好きな楽器/音色はありますか?

DSD様:Orchestral Brass Classic は全ての楽器音色が好きですね。LA SCORING STRINGS は音源の構造といいますか、ディビジであったりポルタメントやグリス、発音タイミングやピッチの揺らぎなど、KONTAKT スクリプトを使ったコントロールが充実しているところに魅力を感じます。

普段の制作環境を教えて下さい。

DSD様:作曲と音源制作の二人で作業を行い、MIDIからオーディオまで全てProToolsのセッションデータで受け渡しをしています。昔はGIGASTUDIO、KONTAKT、ProTools、DPなど制作環境が分かれていたのですが、データを受け渡す手間を出来るだけ省くためにProToolsとKONTAKTという環境に統一しました。GIGASTUDIOのサポートが終了してしまった事もきっかけとなりましたね。最近は1台のマシンだけでは発音数の処理が厳しくなってきたので、音源を他のマシンに振り分けるためにVienna Ensemble Proを導入しました。

通常の音源とお使いのシネマティック系音源では、どのような違いを感じられますか?

DSD様:「シネマティック音源」をオーケストラ・サウンドと定義づけるならば、やはり、オーケストラ・シミュレートを目指して作られた音源なので、奏法の種類がオーケストラ・サウンド向きに収録されている事でしょうか。

オーケストラ向けのブラス音源でBig BandやJAZZ系のホーン・セクション奏法まではカバーされていませんので無理が出てきます。ただし、映画など映像系で使われる音楽はオーケストラ・サウンドだけで無く、幅広いジャンルを求められますので、ある意味全ての音源が「シネマティック音源」と言えるかもしれません。私達もシンセ音源やギター、ベース、ドラムなどをオーケストラサウンドとミックスして取り入れています。

各楽器毎に分けて作られたオーケストラ音源が、Orchestral Brass Classic、LA SCORING STRINGS 等ですが、Symphobia はストリングス、ブラスといったセクションを鍵盤上に配置しキーボードでシンセ音源のように演奏出来る「通常音源」と言えるかもしれません。

しかし、Symphobia の音はより映画的であり映像音楽向けに作られているので、「音色と音源構造」がクロスしている珍しい音源ですね。Symphobiaは歌曲でも使った事があるので、いろいろ試せるのがソフト音源の良さだと思います。

お使いのシネマティック系音源に適していると思う音楽ジャンルを教えて下さい。

DSD様: やはり海外の映画やドラマのオーケストラ・サウンドを目指して作られた音源が多いので、当たり前ですがその方向性の劇伴音楽には向いています。ただし、劇伴音楽にしか使えないという事ではなく、オーケストラのサウンドはポップスやロックにも奥深さと幅をもたらせてくれます。

各メーカーとも演奏方法の音色バリエーションが多く、生演奏の表現を網羅しようとしているので対応の幅も広がりますね。

シネマティック系音源の具体的な使用例を教えて下さい。

DSD様:ギリシャ神話を元にした映画「CLASH OF THE TITANS」が今年2010年にアメリカでリメイクされました。映画に合わせて2010年6月17日に「CLASH OF THE TITANS THE VIDEOGAME : タイタンの戦い」(株式会社バンダイナムコ ゲームス)というゲームが発売され、私達(DIGITAL SONIC DESIGN)がシナリオ進行イベントシーンの音楽を担当させて頂きました。

ゲーム制作の行程に伴い、オーケストラ・サウンドを演奏レベルで調整可能なMIDIシーケンスとサンプリング音源で行う事でとても良い効率と結果を得られました。

シネマティック系音源を使用される際の一工夫はありますか?

DSD様:生楽器を練習するようにMIDI音源も練習すると「楽器が鳴る」という感覚が生まれる気がします。音源に収録された奏法や音色、各種コントロール機能が何を目的に取り入れられたのかを理解して演奏させる事が重要だと思います。

生楽器は「強く弾けば大きな音量と音色」「弱く弾けば小さな音量と音色」といった物理的な法則があります。オーケストラ音源は生楽器のシミュレートを目的に作られているモノがほとんどで、その法則に従うように作られていますから、それを無視して大きな音の音色のままボリューム・フェーダーで抑揚を付けてしまうと、音色変化の無い表現力の乏しいサウンドになってしまいます。

大きな音、強い音というのは迫力があり魅力的なので気を取られがちなのですが、逆に注目すべきは弱く小さな音色だと思います。私は常に小さく弱い音と、大きな強い音との差を付ける事に気をつけています。

言い方を変えれば、音源の持つ情報量を最大まで引き出すMIDI コントロールをするという事ですね。実際に生演奏を見たり奏法について話を聞いたりする事も大変勉強になると思います。

自分に適したシネマティック系音源を選択する際のアドバイスをお願い致します。

DSD様:各音源の持つ情報量はどんどん巨大化しています。メーカーのデモソングは情報量が大きい音源ほどハイスペックなPC 環境で作られている事が多いと思いますので、「演奏デモを聴いて音源を買ってみたけれどあんな音出ないよ・・・」と落ち込まなくてすむように、まずは音源について良く調べ、楽器店などで試演奏、質問や相談をしてみる事をお薦めします。

制作環境がそろったら、後は好みだと思います。自分が求めてる音色、演奏に必要なMIDIコントロールが出来るか?など、まぁ そんな感じで私達も次から次へと音源が増えていってしまいました。(笑)

シネマティック音源のユーザー、あるいは劇伴・サントラ系作曲家を目指す方へのアドバイスなどをお願い致します。

DSD様:シンセサイザーで作られたオーケストラ楽器音色と、生楽器をサンプリングした音源では音の重ね方によって響きに違いが出てきます。シンセ音で作曲していたときは良かったけれど、生楽器で演奏されたものを聞いてみたらイメージが変わってしまったという事は、サンプリング音源においても起こるかもしれません。

しかし逆の意味で、サンプリング音源は、生演奏に近い音で和声や作曲のアイディアを何度でも試せるというチャンスを与えてくれます。

サンプリング音源だけで完結するにも、生演奏レコーディングの事前シミュレートするにも、サンプリング音源のメリットをどんどん活用していきたいですね。

DIGITAL SONIC DESIGN

関美奈子(作曲・編曲)と関正道(サウンドデザイナー)による音楽音響制作ユニット。主に映像、アニメ、ゲーム、ラジオドラマ、ドラマCD、イベント等の楽曲制作、効果音制作、MA、台詞編集等のサウンドデザインを手がける。

代表作

「キングダム」
楽曲制作:アニメ「キングダム」 / ティアリングサーガ ユトナ英雄戦記 / ベルウィックサーガ / 大戦略1941~逆転の太平洋~ / ポケモンバトリオ / Clash of the Titans: タイタンの戦い / ダライアスバースト リミックス ワンダーワールド(アレンジャーとして参加)、他多数。

サウンドエフェクトデザイン・サウンドディレクション:グランツーリスモ 1 / グランツーリスモ 2 / グランツーリスモ 3 / 俺の屍を越えてゆけ / 絢爛舞踏祭 / FRONTIER GATE、他多数。

オフィシャルホームページ

魔界戦記ディスガイア4
アニメ「キングダム」(NHKBSプレミアム)の劇中音楽をDIGITAL SONIC DESIGN様が担当。作曲・編曲は関美奈子 氏、音源マニピュレートは関正道 氏が担当。
「キングダム」の詳細はこちら >>

「Les Chateaux de la Loire」
「ロワール河の城」写真集(イメージ音楽CD付き)
フランス、ロワール河沿いの「シュノンソー城」「アンボワーズ城」「アゼ・ル・リドー城」の3つの城を写真家、中村ユタカ氏が撮影し、更にその写真からのイメージを音楽、イラスト、小説で表現した作品をおさめた写真集。関美奈子 氏(DIGITAL SONIC DESIGN)が音楽を担当。
内容の詳細はこちら >>
プロモーションビデオはこちら >>

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