SONICWIRE

ナカムラヒロシ氏

VIENNA INSTRUMENTS ARTIST INTERVIEW 02 / Presented by Crypton Future Media, INC.

1stアルバム「Essence of life」、2ndアルバム「innocent view 」がトータルセールス70万枚という驚異的なヒットを記録した「SotteBosse(ソットボッセ)」。その「SotteBosse」のプロデューサー「ナカムラヒロシ」氏が今回のアルバムからVIENNA INSTRUMENTSを導入。その使用感や実際の制作でのエピソードなどを聞いてみました。

─VIENNA INSTRUMENTSを導入して如何ですか?

とにかく第一印象はびっくりするほど音が良いというのと、容量が多いというのでしたね。最初はスタンドアローンで起動してずっとストリングスだけを MIDI鍵盤で弾いて遊んでしまいましたよ。ストリングの強弱の表情がホントに良く出来てるなと思いましたね。なのでヴェロシティーの感覚を掴むのがすごい大事だなと。

ヴァイオリンとか後ろに埋もれてくことが多いですけど、VIENNAのストリングスは前にバーンて来る所が本物のヴァイオリンと一緒だなってミックスの時に思いましたね。逆に被せてゆくと良い感じに広がってゆくし。

─使用感は如何でしょうか?

いつも思いついたらすぐにラップトップで曲のアイデアを作ってるんですけど、普通のシンセとかだったら仮のもの作って後で差し替えたりしてるんです。 でもVIENNAの場合は音に存在感があって音質のレベルも高いので、最初からこれで作る方が最終的なイメージに近く作っていけるような気がしますね。使い込んでゆけば生の演奏かVIENNAなのか分からないようなことが出来るだろうなという感じがします。でも逆にそれだからこそ生のプレイでは絶対出来ないような「あれ、これどうやってんの?」みたいなこともやってみたいですね。

アーティキュレーションもホントに沢山入ってて、レコーディングするのにどんだけ掛かったのだろうと思いましたね。どうやって録ったのかそれが知りたいな。あとVIENNAエンジンはすごい使いやすいです。これなら誰でも使えるなと。
今回のレコーディングでも様々な使い方を試してみましたけど、生のストリングスの録音に混ぜてみた時に音像が独特な場所になるというマジックがおきましたね。ただ、僕はモバイル環境でレコーディングすることも多いので今後、ハードが進化してラップトップ一台で使えるようになれば、なお理想的だと思います。

─どんな曲でVIENNAを使いますか?

基本的には歌モノのバックで使いますね。あとやっぱり劇伴とか。ちょうど今ピアノとストリングスの曲とかも作ってるのでそれでも使ってます。あと壮大なオーケストラ曲とかも出来ますよね、しかもプレイヤーがノーギャラでいつでも来てくれるみたいな。(笑)
自分の部屋で全て完結させるベッドルームスタジオみたいなスタイルも好きで、それでゴールまで連れてゆけるとしたら、それはすごくフットワーク軽く出来ますよね。新しい価値観でベッドルームスタジオで作れるなと、これは後で弦差し替えなきゃとか考える必要がないというか。

─クラブミュージックとの相性は?

それこそ人が出来ないフレーズをVIENNAでやるとか、実験的なことをやるのは面白いと思いますね。サンプルの音が痛くなくて、自然な形で前に来るのはすごく良いのでメインのフレーズとかでも使えそうですね。
あとエレクトロニカと弦みたいな、プチプチ鳴ってるノイズと弦と歌で始まり段々壮大になって行く曲とかあるんですけど、そういう曲で繊細に強弱を付けられるというのは武器ですよね。「今ストリングスが何人いる」みたいなのを自分のイマジネーション通りにコントロールできる感じは本当に武器になりますね。生の演奏を1本か2本挿すのもいいかなと思ってたんですけど、VIENNAの段階でかなり良い空気感なので、生に差し替える以外の手段という選択肢がひとつ増えましたよ。 あとVIENNAにメチャクチャエフェクトかけて処理するというような実験的なこともやりたいですよね。わざわざ生で良い音で録ってるものをあえて壊すみたいな。それで「自分のストリングス」「自分のチェンバロ」みたいな音を作りたいなと。

─これからトラックメイキングをする人にアドバイスをお願いします。

常識とか考えないでアレンジするのが面白いなと最近思ってて、好きなことを好きなようにやるというか。いろんなデモとか聞く機会も多いけど、これはどこにでもあるなみたいなものが多くて、一回世の中の音に耳塞いででも好きなことやったらいいんじゃないかなと思いますね。耳を塞いででも自分と向き合って楽しく「これ狂ってるな~」みたいなのとか作ったら良いんじゃないかなと。

「なんじゃこれ?」って思うか思わないかっていうのは心に残るかどうかだと思うし。もちろん圧倒的に感動するものもあるんだけど、それが本当に自分から出てきたものなのかそうでないのかはすごく重要なことだと思う。

最近一人で作る時も誰かに話してるみたいに、しかも誰かに分かってもらうように話すんじゃなくて、「オレはこう思ってるんだ!」っていう感じで作るようになってきたんですよ。だからまずは自分の胸に刺さるものを作ってもらえたら、聞く人にも刺さるから、まずそこで楽しんで、時に苦しんで作ってもらえたら良いですよね。

ナカムラヒロシ氏

ワールドワイドにリリースされたアルバム、MIX CDが、ともに外資系クラブチャート1位を獲得するなど、ダンスミュージックシーンに影響を与え続けている "i-dep" としての活動も脚光を浴びている。また、Sotte Bosseをはじめ、プロデューサーとしても精力的に活動し、国内・海外問わず多くのアーティストを手がけている。ポップミュージックからクラブミュージックまで、ジャンルの垣根を自在に飛び越え、独自の音を生み出す彼のクリエイティビティは注目の的となっている。

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