インタビュー一覧佐藤天平 氏

佐藤天平 氏

『LA SCORING STRINGS』 INTERVIEW / Presented by Crypton Future Media, INC.

サウンドトラックを中心に活動され、心に訴えかける楽曲を数多く輩出し続ける作曲家:佐藤天平 氏。美しく繊細な楽曲のみならず、情熱的な楽曲においても非常に高い評価を得ている氏は、ストリングスに対して並々ならぬこだわりを持っている。そんな氏は最近、新しい次元の再現性、表情、および演奏性をもたらすストリングス・ライブラリ 『LA SCORING STRINGS』 (以下、LASS)を導入。導入のきっかけから実際の使用例を伺った。

まず、天平様の音楽経歴をご紹介頂けますでしょうか?

天平氏:幼少からピアノのレッスンをはじめ、やがてギター、クラリネット、歌を学びました。中学入学からはバンド活動も行い、そこでオリジナル曲を作曲したのが初めての作品です。

高校では専門的に教師について作曲・編曲を学び、同時にコンピュータ・ミュージックや多重録音に目覚めました。その後、芸能山城組に所属して、ケチャやブルガリア合唱の他、アジア・アフリカ等の世界の民族音楽を実践的に学んだり、劇団を主催してミュージカル曲を作曲したり、バンド活動も本格的に行いながら、同時にプロとして作曲の仕事をスタートしました。

現在までに渋谷のプライベートスタジオを拠点にサウンドトラックのアルバムCDを約40枚発表しています。

制作環境を教えて頂けますでしょうか?

天平氏:ProTools8 Accel HD2をメインに各種ソフト音源やハード音源を組み込み、(メインのストリングス音源はLASS)コントローラにProcontrolを使用。レコーディングブースも完備して、ボーカルやピアノ、ヴァイオリン等の生演奏も収録しています。

LASSの導入を決められた経緯を教えてけますでしょうか?

AKAI、Roland、Emu等、ハードサンプラーの時代から様々なストリングス音源を使用してきました。近年はソフト音源化、大容量化が進みリアルな質感が得られるようになりましたが、製品によっては音色が上品すぎたり、音像が遠かったりなどの個性の違いがありました。もっと存在感があり、他の楽器に埋もれない音の息吹とエッジをもったストリングス音源を捜していたところ、LASSの存在を知り、試聴後、即購入いたしました。メインサンプラーとして使用しているKONTAKTに対応しているので、自分でエディットし易いことも導入の大きなポイントでした。

LASSを導入してみての感想を教えて下さい。

天平氏:弦の繊細かつパワフルな質感がダイレクトに伝わってきました。このLASSは上品な質感と表現力、はっきりとしたアタック成分と存在感のあるサスティン成分を持ち、上質のスタジオ収録を思わせるようなクリアな響きをもっているので、自分の求める音へと好きなようにブラッシュアップできるところがうれしいです。

ミックス時にはEQとリバーブの効きが良いので、楽曲のタイプを選ばず色々な個性を演出できます。また、ポップス等で使用する場合も、コンプ等でぐっとパワー感が増して、他の楽器に負けずぐっと前に出てくるのがわかります。

さらに、大容量音源にも関わらずRAMの使用量を楽曲スタイルに合わせることが容易なので、コンピューターやProToolsに負荷をかけ過ぎることなく制作を進められるのがうれしいです。また、MIDIへのレスポンスはとても良く、弦は自分のイメージするように歌い、表現してくれるのもうれしいです。つまり、システム的にもサウンド的にも、自分が表現したい演奏するために積極的にアプローチできる音源だといえます。

ここまで書いてからマニュアル冒頭の開発者の文章を読むと、私と全く同じことを考えていたようです。開発者の文章を要約すると、表現力豊かなストリングスのメロディを書くために、反応がよく直感的で説得力のあるレガートのパッチを自分のために作ったのだと。

このLASSはKONTAKTエンジン専用の音源です。最近は独自のエンジンを持つ音源が多くなっていますが、エンジンによっては使用者の自由度が制限されたり、システムが重くなったりすることがあります。しかしLASSの場合は、KONTAKTの強力なエディット機能で弦のサンプルをもセレクトし、自分の曲、現在の自分のシステムに最適な状態でストリングスアンサンブルを使用できるので、作曲やMIDIコントロール、ミックスのストレスをかなり軽減し、快適なオペレーションが可能です。

1stヴァイオリン、2ndヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、ベースの各セクションには主席奏者によるソロパッチが用意されています。これらのソロにはセクションと同じだけの奏法バリエーションが用意され、特にオーケストラの中で活躍するのですが、普通にソロ音源として活用できるだけのクオリティを持ってることも良い発見でした。

皆さんも好みのストリングスアンサンブルの音源を探すのと同様に、好みのソロ弦の音源を探しているのではないでしょうか?とくに派手なオケの中で使用する時、ソロヴァイオリンは細く、繊細すぎてアンサンブルの中に埋もれてしまいがちで、説得力のあるソロを歌ってくれません。ところがこのLASSのソロは高級感がありながらはっきりとしたアタック感としっかりとしたサスティンをもち、オケに負けず、生き生きとしたソロ歌ってくれます。音域によってはすこし固めの音もありますが、私はビンテージ系のEQ等を使用することで、耳になじむ音にする工夫をしています。

LASSの中で好きなサウンド、奏法を教えて下さい。

天平氏:やはり一番好きなのは基本のレガートのサウンドでしょうか。音源のクオリティを決めるサンプル「レガート」は、一番容量が少ない基本的な奏法のものでもとても質が高く、大変こだわって開発されたのであろうと感じられます。メモリーやCPUに余裕があるなら、さらに多彩な奏法と表現力をもったタイプのレガートを選んで、リアルで強力なポルタメントやグリッサンドを併用することが出来ます。

ピチカートやスタッカート、スピカート等のサンプルにもリアルな"揺れ"、ライブ感があります。レガートと同様にオケの中でもとても存在感があり、ピチカートを弾くだけで躍動感あふれるビートを演出できます。

このように、LASSはレガート、ピチカート、スタッカート、トレモロ等、作曲する上で基本となる音色、奏法のクオリティのためにディスクの容量のほとんどを要しています。

一方で、LASSは普通の楽曲ではあまり使わないような特殊奏法やフレーズサンプルはバッサリ切り捨てています。高いお金をだして大容量音源を買い、長時間かけてインストールしたのはいいけど、実際使うのはほんの一部だけ、といった空しさはありません。その贅沢に収録された基本の音色、奏法をいかに自在に操り、またバリエーション豊かに組み合わせて使い込んでいくかというLASSの思想がとても頼もしくかっこよいのです。

直近で、LASSを使われた作品はございますでしょうか?

天平氏:2011年2月24日に、PlayStation 3でリリースされた「魔界戦記ディスガイア4」のサウンドトラックでは、70%以上の弦でLASSを使用しています。魔界が舞台の物語で、ストリングスアンサンブルやオーケストラも多く活躍しましたが、激しく熱い曲から癒しのバラード曲まで、魔界という個性の強いサウンドをダイナミックに表情豊かに表現するのに大変役立ちました。おかげさまでその音楽はたいへん好評を頂きました。現在、アレンジサウンドトラックCDを制作中ですので、LASSサウンドの実力に触れたい方はぜひ聴いて下さいね。

佐藤天平 氏

映画・アニメ・ゲームミュージックの作曲家。埼玉県出身。早稲田大学卒。幼少期よりピアノのレッスンをはじめ、バンドや芸能山城組等での活動を経て、現在は渋谷にスタジオを構えて創作活動を行っている。

サントラを中心に多数のCDアルバムを発表し、とくに女性ボーカルやミュージカルの歌に高い評価があり、自身もボーカリストで歌う作曲家としても人気がある。またMIDIのテクニカルな表現にも定評があり、ソフトバンクより出版された著書もある。(Wikipediaより抜粋)

公式サイト

天平氏のTwitterアカウント

魔界戦記ディスガイア4
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ラストエンゲージ c/w カナリア航海
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映画「Flowers*」サウンドトラックCD
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